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9940.福岡県の焼酎 ブログトップ

《焼酎》57.ごま祥酎 紅乙女 200ml [9940.福岡県の焼酎]

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株式会社紅乙女酒造
福岡県久留米市田主丸町益生田562-1

本格焼酎
原材料名 麦・米麹・胡麻
アルコール分 25度
200ml
(以上、ラベルより転記)




今日は、主原料の一部に胡麻が使用されている焼酎をいただきます。
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この焼酎は、「おめでたいしるし」(蔵元さんのWebsiteより)を込めて、ごま“祥酎”と呼ぶのだとか。
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胡麻を用いた焼酎は古くから造られていたわけではなく、この紅乙女酒造さんが昭和40-50年代にかけて開発なさったのだそうです。
そもそも、「元来、ごまには脂質が多いため、焼酎に油分が残留しすぎると油臭さが出てしまうという、非常に扱いにくい素材」(※1)なのだそうですが、それでもおいしい焼酎を造りたいという信念の下で胡麻を用いた焼酎の開発に取り組み、約七年かけて商品化なさったそうです。
このことについて、文献には以下のような記述がありました。

 焼酎造りを本格的に始めたのは昭和46年のこと。長男に家業をゆずった後、今度は自分たちが味わう美味しくて健康にいい酒を夫婦で造ろうと、春野さんにとっては念願の「いい香りの酒」造り実現への機会だった。
(中略)
 まずは同じ蒸留酒である焼酎に目を向けた。当時焼酎は安く下級な酒とみなされ、特にその臭いは敬遠された。臭いを消して何とか憧れの洋酒の香りに近づけようと、春野さんは懸命になる。材料も胡麻にたどり着くまでは試行錯誤の連続だった。江戸時代の筑後地方は、胡麻の生産高が日本一だったと言うが、そんな身近な素材から誕生した焼酎は、現代の健康ブームも大きく先取りするものだった。」(※2)

 ある時、実弟が「姉さん、これはどうかね」といって一瓶の焼酎を持ってきた。試してみると焼酎の臭みがなくマイルドな味がする。
 麦焼酎にごま油をたらしてみただけだという。「胡麻」、今まで気づかなかったヒントを弟がくれた。胡麻は栄養があるし、香りもいい。これを焼酎に活かせたらいいものが出来るかもしれない、と思った。
(中略)
 しかし、胡麻は発酵力が弱く、発酵させて酒にするのは難しかった。醸造の技術者に依頼して胡麻をすったり、炒ったり、試行錯誤して造っては保存していった。洋酒のように貯蔵することで味と香りがよくなると思ったからだ。それでもある時、忘れていた容器を開けて味わってみたら、なんとも滑らかな舌触りでいい香りがぷーんと立ち昇ってくる。
 「これはよか!」とご主人たちにも味わってもらった結果、この製法にかけることにした。本格的に製造にかかりたいが、福岡国税局からの認可を受ける段階になったら製造認可の返事がなかなか出ない。胡麻を原料として添加することは、今までに例のない新しい方法であることなどの理由であった。
 春野社長は直接本庁の意見を仰ぐことにして単身上京し、国税庁に説明した結果、胡麻を焼酎の原料として使用することが認められ「胡麻焼酎」の製法認可が下りたのである。
(中略)
 焼酎に取り組みだしてから商品化するまで約七年たっていた。」(※3)


上記の引用文献に登場する“春野さん”は、紅乙女酒造さんの創業者であった林田春野さんのことでしょう。
林田春野さんは明治45年のお生まれで、女学校卒業後に田主丸にあった造り酒屋で嫁いで来られたようですが、胡麻焼酎を本格的に販売すべく「昭和53年に株式会社「紅乙女酒造」を正式に成立させ、春野さんは社長に就任する。」(※2)とあることから、60歳半ばを過ぎての起業だったわけですよ。
しかも起業する前に、約七年もの間研究を続けていらっしゃったわけですから、おいしい焼酎を造りたいという信念はとても強いものだったことでしょうね。

もしオイラも強い信念を持ってこれまでの人生を生きて来ていたら、今頃はきっと、毎日こんな酒臭いブログを書きながら飲んだくれちゃいなかったんだろうな・・・・。
オマエのことなんかどうでもいいわ。


それでは、いただいてみましょう。
上記にあるとおり、香りを特長とする焼酎のようですから、その点を考慮して味わってみたいと思いますよ。



まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
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上立ち香はないものの、一口含むとごま油のような香りを感じます。
焼酎自体の風味は弱めで、減圧蒸留らしい麦焼酎のフワッとした風味を少し感じる程度です。
それに25度だからでしょうか、生だとけっこうピリッときますね。



次に、お湯割りで。
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香りが立ちますね。
鼻を近づけると上立ち香を感じ、一口含むと口の中でフワッと広がります。
それにお湯割りだと、胡麻の香ばしさがわかるようです。
ピリは消えますが、甘みは薄まるものの残ります。
お湯割りにありがちな酸味はそれほど感じませんでしたが、冷めると少し出るようです。
苦みや雑味は感じません。



最後は、残ったものをロックで。
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予想してはおりましたが、ロックにすると苦みが出ますね。
しかも強めで、けっこう鋭い苦みです。
うまみや甘みは生(き)と同じくらいでしょう。
香ばしさは少しわかるようです。



一口味わっただけで、胡麻を主原料としていることがはっきりとわかる焼酎でした。
といっても、胡麻は味わいのためというよりも、むしろ香りのための原料といった感じがいたしました。
味わいのベースは、減圧蒸留の麦焼酎といったところでしょうか。

私は胡麻が好きなので、楽しませてもらいました。
こういった香りづけのしかたであれば、私の好みで言えば、例えば麦に胡椒、あるいは山椒を合わせて造ってもいけるのではないかと思った次第でした。
もっとも、それを商品化させ得るほどの信念は、私にはありませんけれどね。

(※1)エイムック2089『焼酎の基本』p.042(2010.12 枻出版社)
(※2)葛木操『「九州おんな気質」 第7回 福岡・筑後の「紅乙女」』p.179(財界九州 45巻6号 p.177-180 2004.6 財界九州社)
(※3)脇田直枝『六十歳を超えて起業する 連載① 紅乙女酒造社長 林田春野 はやしだ・はるの 九十五歳 明治女の九州魂 「六十六歳から創業した紅乙女酒造」』p.76(財界 55巻3号 p.74-76 2007.1 株式会社財界研究所)
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