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《焼酎》26.甘藷翁 利右衛門(カライモおんじょ りえもん) 200ml [9946.鹿児島県の焼酎]

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指宿酒造株式会社
鹿児島県指宿市池田6173番地1

本格焼酎
原材料/さつま芋・米こうじ
アルコール分/25度
200ml
(以上、ラベルより転記)




鹿児島県指宿市。
薩摩半島の先端にある池田湖のほとりに蔵を構える蔵元さんが造った芋焼酎です。




“利右衛門”いう銘ですが、これはもともとは人の名で、どうやら琉球からさつまいもを持ち帰ってきた漁師だったのだとか。
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この利右衛門さんについて、文献には以下のような記述がありました。
『三国名勝図会』には、次のような文がある。
利右衛門甘藷(からいも)の功 利右衛門は、大山村岡児ヶ水浦の漁戸なり。土人の伝えに、宝永二年、乙酉(いつゆう)の年、甘藷を盎(おう)に植えて、琉球より携え帰る。これより甘藷漸(ようや)く諸方に溥(ひろ)まり、人民その利益を蒙るという。(以下略)」(※1)

その功を称えてか、“甘藷翁(カライモおんじょ)”と呼ばれたり、利右衛門さんの顕彰碑やら頌徳碑やらが指宿市内のみならず、鹿児島湾を挟んだ対岸の大隅半島にまでも存在するそうです。
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さらには、指宿市山川には“徳光神社(とっこうじんじゃ)”という利右衛門さんを祭神とする神社まであって、神様(玉蔓大御食持命:タマカヅラオオミケモチノミコト)として崇められているのだとか。



その徳光神社にある案内板では、利右衛門さんのことが以下のように紹介されているそうです。
    徳光神社
 ここは、鹿児島にサツマイモを広めた前田利右衛門を祭る神社です。
 利右衛門(~一七一九)は、ここ岡児ヶ水(おかちよがみず)の人で今から約三百年程前の宝永二年(一七〇五)に琉球今の沖縄に渡りました。この時、土地の人々が珍しいものを食べていましたので、その種を持ち帰りました。それがイモでした。
 イモのそもそもの原産地はアメリカですが、コロンブスがアメリカ大陸を発見(一四九二)したあと、このイモをヨーロッパに持ち帰りました。やがて、ヨーロッパ人が東洋に進出すると、そのイモもフィリピンから中国、そして琉球へと伝えられました。そのイモが山川にもたらされたのですが、中国を昔は「唐の国」と言ったので、山川の人々も「唐の国のイモカライモ」と呼んだのです。
 この「カライモ」は、山川の人々にとっては食料革命をおこすほどのものでした。と言うのは、この土地は、たび重なる開聞岳の爆発により、まったくの火山灰土壌になってしまい、アワ、ソバなどの雑穀しか出来なかったと言われています。また、ここは台風の常襲地帯であったので、そういう雑穀類も嵐のためにフイになることも少なくありませんでした。だから、火山灰に強く、台風にも強いこのカライモは山川の人々にとって、まさに心強い生命綱だったと言えます。実際、江戸時代には、幾度となく飢饉があり、全国的に多くの人々が亡くなってしまいましたが、ここでは、カライモのおかげで死なずにすみました。
 こうして、カライモはやがて薩摩藩~鹿児島県全体に広まり、ついに、時の政府江戸幕府も「これはいい」と全国に広めていくことになりました。この仕事をしたのが青木昆陽(一六九八~一七六五)です。この時に、イモが薩摩から出たので、もっぱら「サツマイモ」と呼ばれるようになりました。
 もっとも、イモの伝来には諸説があります。しかし、民間人が持ち帰ったと言うこと、そして、実際に栽培したということこの二点で利右衛門の右に出る人はいないと言っていいでしょう。
    平成十二年十二月二十二日
    山川町教育委員会
    山川町観光協会
    山川町岡児ヶ水区」(※2)
(上記引用文の冒頭では利右衛門さんのことが“前田利右衛門”と表記されておりますが、これはどうやら利右衛門さんの子孫が明治になってから前田姓を名乗ったことに因る表現のようです。)


ここで、残念なお知らせがございます。

これほどまでに鹿児島の人たちに称えられている利右衛門さんですが、実は一番最初に鹿児島へさつまいをもたらした人ではなかったみたいです。
このことについて、別の文献には以下のような記述がありました。
 その後1698年尚貞王は島津家の家老種子島久基に甘藷を贈った。これが薩摩における甘藷の初まりである。また1705年薩摩の農夫前田利右衛門が来沖し、甘藷数個を持ち帰って植えた。」(※3)

ではなぜ、利右衛門さんが甘藷翁として称えられているのでしょうか?
残念ながら、このことについて明確に記述している文献には出会うことができませんでした。
それどころか、上記(※1)の文献ではこれを判官贔屓ではないかと評しておりました。

 利右衛門が持ってきたイモは、三個とか数個とかいわれているが、鉢植えにして持って来たというから一個の可能性もある。それが、年を経ずして爆発的に藩内に拡散するのは、物理的にも不可能である。
 一七一〇年代に、藩全体に広がるには、種子島の一六九八年栽培の成功が必須条件である。
 利右衛門イモの流行の背景には、藩の農政担当家老の種子島久基の力が働いたとしか考えようがない。」(※4)
種子島久基ってのは、上記(※3)にあったとおり、利右衛門よりも先に鹿児島へさつまいもをもたらした人ですね。

『旧記雑録』追録三の正徳・享保年間の薩摩藩令には、種子島久基が数名の家老と共に、常に名を連ねている。しかも上位にある。農政家種子島久基が藩の家老として活躍した時期が、まさに甘藷が藩全体に拡散し普及したときであった。逆からいえば、久基をかいて、甘藷農政は成り立たないのである。
 しかし、庶民の食べ物のイモ、租税の対象にならないイモ、腐敗して蓄財の食品にもならないイモは、ついて藩に記録されることなく時が過ぎ、庶民サイドの利右衛門(利右(りよん))だけの名が残った。
 一浦人の利右衛門にしても、イモ普及に行脚したものでもなく、イモで財をなしたわけでもない。時代の寵児となるのも後世のことで、水夫のあとは漁師をしたようで、故郷の浦先で不幸にも死んでしまった。あとは判官贔屓で、やがて甘藷翁に昇華していった。」(※5)


判官贔屓(「源義経を薄命な英雄として愛惜し同情すること。転じて、弱者に対する第三者の同情や贔屓」(※6))でもいいじゃないですか!
為政者側の種子島久基が称えられるようになることよりも、むしろ自分たちと同じ身分や境遇にあった利右衛門さんのことを、さつまいもをもたらして飢饉から救ってくれた恩人として民百姓たちが自発的に崇拝するようになったことのほうが、よっぽど人間臭くて健全じゃあ~りませんか。

それに、お上のおエライさんである種子島久基とちがって、利右衛門さんは民百姓の一員としてその社会の中で共に暮らしていたわけですよね。
これは完全に私の勝手な想像ですが、山川の民百姓たちが利右衛門さんの恩をその死後も忘れることなく、しかも甘藷翁として称えるようになったのは、利右衛門さんが自分たちの仲間であったが故ではないでしょうか?。
そしてその神格化は、もしかしたら山川の民百姓たちが利右衛門さんに対する感謝の気持ちを表現するための最上級の手法だったのかもしれませんね。


私が今こうして芋焼酎をいただくことができるのも、ひとえに甘藷翁である利右衛門さんのおかげであると深く感謝しつつ、その利右衛門さんの名を銘にいただくこの焼酎をそろそろいただいてみたいと思います。



まずは、生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
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アルコール香はありますが、それほど目立ちません。
芋っぽい風味があって、重くはないもののふっくらしています。
香りには角や華やかさがなくて、穏やかです。
甘味がちょっとはっきりしているようです。
苦味や雑味はありません。


次に、お湯割りで。
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軽い苦味がちょっとだけ出るようです。
それに酸味も出てきて、それが少し鋭くて、しかもちょっとしょっぱいような感じもあるみたいです。
でも、その軽い苦味と酸味とが、ふっくらした芋っぽい風味とよく合っているようです。
一方で、甘みは引くみたいです。


最後に、残りをロックで。
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ロックにすると、苦味に重みが出てくるようです。
酸味は残る一方で、芋っぽい風味と甘味とはちょっと後退するみたいです。
苦味と酸味とで、かなり引き締まった感じがいたしました。



芋っぽい風味と甘味とを楽しみたければ、生(き)で。
キリッと引き締まった口当たりがお好きならばロックで。
そして、酸味や苦味と芋っぽさの調和を味わうならば、お湯割りで。
私としては、複雑な味わいが楽しめるお湯割りが好みではありましたが、生(き)でふっくらした芋っぽい風味を楽しんだり、ロックの引き締まった味わいもなかなかいけるのではないかと感じました。

飲み方によって味わいが変化する、おもしろい芋焼酎でした。
たった200mlの芋焼酎でしたが、いろいろな味わいを楽しませていただいたことを利右衛門さんに感謝したいと思います。

(※1)山田尚二『かごしま文庫(19) さつまいも』p.121(1994.11 春苑堂出版)
(※2)大本幸子『いも焼酎の人びと』p.50-51より(2001.10 世界文化社)
(※3)豊田清修『サツマイモ伝来の経路』p.281(医学と生物学 112巻6号 p.281-283 1986.6 緒方医学化学研究所医学生物学速報会)
(※4)(※1)p.203
(※5)(※1)p.203-204
(※6)広辞苑 第五版(電子辞書)
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《焼酎》17.黒白波 200ml [9946.鹿児島県の焼酎]

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薩摩酒造株式会社
鹿児島県枕崎市立神本町26

本格焼酎
アルコール度 25度
容量/200ml
原材料/さつまいも(鹿児島県産)、米こうじ(国内産米)
(以上、ラベルより転記)




先日いただいたさつま白波に引きつづき、今日も薩摩酒造さんの焼酎をいただきます。
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今日いただくこの黒白波は、黒麹仕込みなのだとか。
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黒麹についてはかつてこちらでまとめておりますので、ご参照下さい。


まずは、半分をお湯割りでいただきますよ。
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芋っぽい香りはありますが、さつま白波ほど重くはなくて、弱めです。
しかし、華やかな香りを少し感じますね。
ですが、こちらは香ばしさが豊かで、それがキレずに残ります。
それに、酸味が少しはっきりで、甘みもありますね。

香ばしくてまろやかな、おいしい焼酎でした。
この香ばしさはさつま白波では感じませんでしたが、ということは黒麹に由来する香ばしさでしょうか。
一方で、芋っぽさが重くないので、さつま白波よりも飲みやすく感じました。
酸味がさわやかで、しかも甘みがあってまろやかで、口当たりよくいただくことができましたよ。
食事とよく合う、おいしいお湯割りでした。


次に、4分の1をロックで。
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芋っぽさは引っ込みました。
しかし、香ばしさが際立ってきて、しかも苦味が出てきました。
それに酸味に鋭さが出てきて、それがちょいピリで、かなり引き締まってきました。

ロックだと、味わいに角が出るようでした。


最後は、残りの4分の1を炭酸割りで。
これはさつま白波との比較のためです。
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香りや香ばしさは、炭酸で弱まってしまいましたよ。
それでいて、苦味だけが残るようです。
これは私の感想ですが、どうやらこの黒白波は炭酸割りには向かないみたいですわ。


まとめると、黒白波はお湯割りがもっともまろやかでおいしいのではないでしょうか。
それにさつま白波ほど芋っぽさが重くないので、香ばしさはあるものの飲みやすく感じました。
黒霧島をいただいた際に紹介しましたが、焼酎の香味成分は白麹よりも黒麹のほうが強く出るはずなのに、なぜかさつま白波よりもこの黒白波のほうが風味が穏やかでしたよ。

これはあくまでも私の予想ですが、もしかしたらこの黒白波は、黒霧島を意識して、飲みやすく仕上げてあるのでしょうか?

この黒白波も、とくにお湯割りが食事と合うおいしい焼酎でした。
でもね、あたしゃズシリと重い芋っぽさを感じることができたさつま白波のほうが好みでした。
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《焼酎》16.さつま白波 200ml【追記あり】 [9946.鹿児島県の焼酎]

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薩摩酒造株式会社
鹿児島県枕崎市立神本町26

本格焼酎
アルコール度 25度
容量/200ml
原材料/さつまいも(鹿児島県産)、米こうじ(国内産米)
(以上、ラベルより転記)




10月の初めに大分県で焼酎集め&酒集めをした際には鹿児島県産の芋焼酎もいくつか入手することができ、手元にはその在庫がございます。
これらの芋焼酎のうち、まずは世間で広く飲まれている銘柄からいただいてみようと思い、先般いただいた海童の前割りカップにひきつづき、この“さつま白波”を選びました。


私が子どものころに、父親が飲んでいた芋焼酎がこのさつま白波でした。

その当時、私はこの芋焼酎を好んで飲む父のことが不思議でなりませんでしたよ。
だってさ、ニオイがものすごく強烈だったものですから。
そのニオイの強烈さたるや、まるで正露丸のようで、「こんなクサいものを飲む奴の気が知れない。」と子ども心に思ったほどでした。

ですが今日ではこのニオイ、すなわち“芋傷み臭”の原因が解明されて、それを防ぐ方策が採られていることについては、かつて紹介いたしました。
ということは、今日いただくこのこのさつま白波も、かつてのようなニオイはきっとしないのでしょうね。


ニオイの話はさておき、「鹿児島の芋焼酎と言えば?」と問われた際にいの一番に出てくるのは、まちがいなくこのさつま白波でしょう。
なにせこのさつま白波こそが、芋焼酎が東京のみならず全国で愛飲されるようになるまでの先鞭となったわけですから。

その飲み方として提案された“ロクヨン(焼酎6:お湯4のお湯割り)”は、いまでは芋焼酎のみならずあらゆる焼酎で広く採用されている飲み方になっておりますね。
このことについて、文献には以下のような記述がありました。
昭和40年中期。「白波」がポットでジャーと湯で割る「6対4(ロクヨン)お湯割り」をコマーシャルにする。これまで湯で割ったりコップで飲むのは下品だとされていたのだが、逆にこれなら燗の手間も省けて簡単に飲めるとヒットした。来客や晩酌に、奥さんの手を煩わせない点でも革命的な飲み方として歓迎された。「白波」の販売数字が1年ごとに倍々で増加する。さらに、「酔い覚めさわやか」のキャンペーンが他社の酒との違いとして認知され、社会の健康志向もあって、飛躍的に伸びた。昭和50年くらいに「お湯割り白波ブーム」が東京に至る。その頃には焼酎販売他社も、東京をねらわなければと支店を続々と出した。」(※1)

この“ロクヨン”については、「「ちょうど電気ポットがどの家庭にも行き渡った時期で、お湯さえあれば飲めるロクヨンのお湯割りは旦那一人でも簡単にでき、主婦も助かる。この飲み方を普及させれば、需要増加は間違いないと判断しました」」(※2)と、とある雑誌で薩摩酒造の社長さんが語っておられました。


しかし、薩摩酒造さんは焼酎がたとえどれほど売れても、製造も原料の調達も地元でのみ行うことと決めていらっしゃるのだとか。
このことについて、(※2)と同じ文献では社長さんの言葉が以下のように紹介されておりました。
「わが社は、昔ながらの伝統の製造法をかたくなに守ってきたし、これからもそうです。開聞岳の裾野に広がる畑で穫れる黄金千貫、また白沢には、白波の原点である『神の河(かんのこ)』という湧水があります。麹は生き物。最適な気候風土と、それを扱う黒瀬杜氏をはじめ、人々のこまやかな愛情があって初めてうまい焼酎ができるのです」と強い信念を語る。
(中略)
これらの条件は、到底海外で満たせないから、企業方針として、原料の輸入や海外生産はあり得ないという。」(※3)

コスト削減・利益増加のことだけを考えて生産拠点を海外へと移す企業が少なからず存在する昨今において、薩摩酒造さんが品質を守り抜くために決意した企業方針はすばらしいじゃありませんか!
そうとわかったからには、地元での原料調達と生産とにこだわりつつも全国展開の偉業を達成なさったこのさつま白波を、心していただきたいと思います。


25度で200mlですから、今日は半分だけロクヨンのお湯割りにして、残りは明日、別の飲み方でいただいてみたいと思います(その感想は、明日この記事に追記します)。
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お湯を入れた器に焼酎を注ぐと、注いだ端から香りが立ってまいりましたよ。
子どもの頃に嗅いだニオイとはちがうものの、芋っぽい香りがズシリと来る、かなり重い香りですね。
でも、一口含むと、華やかさも少し出てくるようです。

苦味がかすかにあることがわかります。
ちょっと重さを感じるものの、弱めです。
酸味もあって、弱めですが鋭さを感じますね。
一方、甘みはほとんど感じませんでした。


ズシリと重い香りが豊かで、苦味と酸味とがちょっと効いている、おいしい芋焼酎でした。
辛口で、苦味と酸味とがちょっと効いていることから、口当たりはかなり引き締まっているように感じました。
でも香りがかなりはっきりしていて、しかも重いので、飲み応えを感じました。

これ、うまいね!
芋っぽい香りがかなり重いので飲みやすさはまったくありませんが、こういうガツンとくる風味は私の好みですわ。
常圧蒸留で造られた米焼酎の焦げ臭さとは香りの質が異なるようですが、重さという点では共通したものがあるように思います。
あたしゃまだ芋焼酎の経験はかなり浅いのですが、今後いろいろといただく際に、私の中ではこのさつま白波が味の基準となりそうな気がしますよ。

それに、このズシリと重い香りは、喉の奥から鼻腔の入口辺りにかけての位置に、飲んだ後もしばらくの間残るようです。
二日酔いになったときにこの香りが残っているときっと気持ち悪いことでしょうけれど、そうでなければ焼酎の香りをいつまでも感じ続けることができてうれしいかぎりです。
そういえば、「焼酎もろみの発酵過程でエチルアルコールのほかにフーゼル油(高級アルコール)が生成されますが、このフーゼル油成分が微量存在することにより焼酎らしい風味が形成されます。つまり高級アルコール飲料の微量成分中、最も多量に存在し、香気性付与に大きな役割をはたしているのです。」(※4)とか、あるいは「フーゼル油は焼酎の香気成分の一つですが、多量にあるとき表面に浮き、空気中で酸化され油臭のもとになります。」(※5)といった記述に出会ったことがありましたが、もしかしたらこのさつま白波で感じたズシリと重い香りはフーゼル油に起因するものなのでしょうか?






翌日

ズシリと重めの芋っぽい香りは、この日の午前中まで私の鼻腔に残っておりました。
たった100mlの量を、しかもお湯で割って飲んでいるのに、これほど残るとは意外でしたよ。

もしもこのさつま白波を飲み過ぎて二日酔いになったら、きっとかなり気持ち悪いことでしょう。
“芋焼酎は酔い覚めがさわやか!”なんていう記述に少なからず出くわしたことがございますが、それはこのさつま白波に関してはけっして当てはまらないと思いますよ、あたしゃ。

でも、二日酔いになっていないワタクシにとっては、賃労働で拘束されて時間と魂とを切り売りしていた間にも焼酎の余韻に浸ることができて、うれしいかぎりでしたけれどね。


これだけ香りが強ければ、おそらく倍以上に割っても風味を損なうことなくおいしくいただけるのではないでしょうか?
そう思って、今日は残った半分を炭酸割り、すなわち“芋ハイ”にしてみましたよ。
割合は、芋焼酎1:炭酸2です。
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これもうまいね!
芋焼酎1:炭酸2で割っても、香りはかなりはっきりしていて、薄まった感じがいたしません。
でも、重さだけは幾分後退して、少し軽くなりましたよ。
また炭酸の泡でさっぱりして、しかもさらに辛口になってキリッと引き締まってまいりました。

さつま白波の炭酸割りは、風味はしっかりしているものの軽さが出て、キリッと引き締まった美味しい飲み方でした。
甘みがほとんどなくて辛口ですが、軽さが出てスイスイといけてしまいます。
それでいて芋っぽい香りはしっかり残っていて、薄めても衰えた感じはしませんでした。
むしろあたしゃ、味も素っ気もない甲類焼酎なんかよりも、さつま白波くらい風味がしっかりしている焼酎のほうが炭酸とよく合うと思いますよ。


そういえば、「焼酎博士として知られていた菅間誠之助先生」(※6)のお宅に「亡くなられる数カ月前にお邪魔したとき、酒豪でならした先生が、お湯の中に焼酎を一滴垂らしイモ焼酎はこれで焼酎らしさが味わえるんだからすごい酒ですね、と言っておられたことを思い出す。」(※7)という記述を読んだことがありました。
すなわち、芋焼酎の香気成分ってのはこれほどまでに強力なわけで、芋焼酎1:炭酸2で割ったくらいでは衰えないのですね。

鹿児島県内には芋焼酎を造る蔵元さんが100以上あって、1000を超える銘柄を世に送り出していらっしゃるのだとか。
その中でも大手蔵である薩摩酒造さんの製品でさえこれだけ楽しませてくれるわけですから、もっともっと個性豊かな焼酎が、きっとたくさんあることでしょう。
これはもう、想像するだけでワクワクしてきましたよ。


いつか鹿児島へ行って芋焼酎を集めてやろうと思う、吉宗であった。(※8)



(※1)大本幸子『いも焼酎の人びと』p.76-77(2001.10 世界文化社)
(※2)上藤顕『事例3 薩摩酒造㈱ ブームに先駆けて芋焼酎のブランドを確立』p.28(商工ジャーナル 32巻12号 p.27-29 2006.12 商工中金経済研究所)
(※3)p.29
(※4)小川喜八郎・永山久春『本格焼酎・南九州の風土を味わう』p.123(2002.6 鉱脈社)
(※5)(※4)p.133
(※6)鮫島吉広『ダレヤメの肴 焼酎呑んの よもやま話』p.144(2000.7 南日本新聞社))
(※7)(※6)p.146
(※8)“暴れん坊将軍”のエンディングテーマ曲に入る直前の台詞より
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《焼酎》14.海童 12度270mlカップ [9946.鹿児島県の焼酎]

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濵田酒造株式会社
鹿児島県いちき串木野市西薩町17-7

原材料/さつまいも(鹿児島県産)、米麹(国産米)
アルコール分/12度以上13度未満
容量/270ml
(以上、ラベルより転記)




熊本県内にあったコンビニで見つけた、鹿児島の芋焼酎です。
アルコール度数が12度ですから、あらかじめ蔵元さんで瓶詰め前に“前割り”がしてあるのでしょうね。
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前割りってのは、「名前のとおり、あらかじめ焼酎を水で割り、しばらく寝かせてから飲む方法」(※1)で、「その場で割る水割りに比べ、焼酎と水がじっくりとなじむため、焼酎の口あたりがまろやかになり、芋焼酎の本当のよさが味わえる」(※1)のだとか。

これは単なる感覚の問題だけではなく、「焼酎に含まれるアルコール(エタノール分子)と、水の分子の混ざり方に関係します。数日寝かせる間に、水分子がエタノール分子の周りを取り囲み、このことが飲み手に「アルコールの刺激が弱く、まろやかだ」と感じさせる要因になるようです。」(※1)とのこと。

きょういただくこの前割り焼酎は、はたして上記のとおりまろやかな味わいなのでしょうか?
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。


まずは、冷蔵庫で冷やしたものを。
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一口含むと、芋っぽい香りがふわっと鼻へ抜けていきます。
黒麹っぽい香ばしさもありますが、しつこくはないですね。
酸味はほとんどなく、甘みもかすかに感じる程度です。
それに口当たりがさっぱりしていて、しかもキレがよいですね。

ちょいフワちょい香ばしさの、さっぱりスッキリした味わいでした。
たしかにまろやかで、角はないですね。
それに割ってあるためか、口当たりもさっぱりしておりました。


ここで、残ったものをカップごと電子レンジであたためてみましたよ。
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アルコール香が少しはっきりしてきましたが、芋っぽい香りも際立ってきましたよ。
華やかさはないものの、ふっくらとした芋の香りです。
逆に、香ばしさは穏やかになってきたようです。
それに甘みが引いて、キリッと引き締まってまいりましたね。


冷やすとさっぱりしているが、燗だと香りふっくらでキリッと引き締まった味わいの焼酎でした。
前割りで薄めてあるためか、お酒(いわゆる日本酒)と比べると水っぽく感じるかもしれません。
それでも香りがしっかりしているので、物足りなさはないですね。
さらに角や雑味がまったくなくてまろやかで、しかも口当たりがよいのでスイスイといけてしまいます。

九州の言葉を借りて表現するならば、この焼酎は、コンビニで買えるお手軽なダレヤメ(「鹿児島の方言で晩酌のことである。一日の締めくくりにダレ(疲れ)を癒す・ヤメ(止める)ことに由来する。」(※2))だと思いましたとさ。


(※1)鮫島吉廣監修 メディアファクトリー編集『ゼロからはじめる焼酎入門』p.24(2014.4 株式会社KADOKAWA)
(※2)鹿児島県本格焼酎技術研究会『かごしま文庫(62) 鹿児島の本格焼酎』p.148(2000.6 春苑堂出版)
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