So-net無料ブログ作成
9945.宮崎県の焼酎 ブログトップ

《焼酎》23.いも焼酎 あなたにひとめぼれ 黒 180ml [9945.宮崎県の焼酎]

5750.JPG
株式会社都城酒造
宮崎県都城市乙房町2887番地1

焼酎乙類
原材料:甘藷、麦、米(国産)、コーンスターチ、米こうじ(タイ産・国産)、麦こうじ
アルコール分20度
内容量180ml
(以上、ラベルより転記)




昨日いただいたあなたにひとめぼれ いも 180ml、そしてかつていただいたあなたにひとめぼれ こめ 180mlに引きつづき、都城酒造さんの焼酎をいただきます。

今日いただくこのいも焼酎は、黒麹仕込なのだとか。
5753.JPG
黒麹についてはかつてこちらでまとめておりますので、ご参照下さい。

でも、“いも焼酎”を名乗りながらも、さつまいも以外の原材料もいろいろと使われておりましたよ。
昨日いただいたあなたにひとめぼれ いも 180mlと同じく、コーンスターチも使用されておりました。
5752.JPG
そのためか、お値段はなんと、一合でたったの税込119円でした。
5745.JPG

なお、さつまいも以外の原材料を使っても“いも焼酎”を名乗ることができること、そして本格焼酎ではなくて焼酎乙類を名乗っていることについては、昨日の記事をご参照下さい。


それでは、いただいてみたいと思います。

まずは、生(き)、すなわちストレートで少しだけ。
5754.JPG

一口含むと、黒麹らしい香ばしさを少し感じます。
それに苦味も少しあるみたいです。
しかし、香ばしさも苦味もそれほどしつこくはないみたいです。
香りはそれほどでもなく、華やかな香りはあるものの穏やかです。
芋の風味もふわっと感じますが、これも穏やかです。
穀物の香ばしさはよくわかりませんでした。


次に、お湯割りで。
5755.JPG

香りが少しはっきりしてきました。
芋っぽさがよくわかりますね。
華やかさは穏やかです。
苦味がさらに弱くなって、気にならなくなります。
ですが一方で酸味、それもさわやかさが際立ってきましたよ。


最後に、残ったものをロックで。
写真を撮ることを忘れてしまいました!

口あたりがトロッとしてまいりました。
ですが、これは苦味がはっきりしています。
香ばしさも目出つようになってまいりました。
一方で、香りも酸味も引きますね。
かなりキリッと引き締まってきましたよ。


私としては、やはり黒麹由来と思われる香ばしさや苦味が穏やかなお湯割りが好みでした。
黒麹ってのは、香ばしさや苦味はしっかりと出すものの、華やかな香りを出す能力は白麹よりも劣っているのでしょうか?
私としては、香ばしさや苦味がひかえめで、かつ芋の風味や香りをしっかりと感じることができたあなたにひとめぼれ いも 180mlのほうが好みの味わいでした。
nice!(31)  コメント(0) 

《焼酎》22.あなたにひとめぼれ いも 180ml [9945.宮崎県の焼酎]

5740.JPG5741.JPG
株式会社都城酒造
宮崎県都城市乙房町2887番地1

焼酎乙類
●原材料名:さつまいも・麦・米(国産)・コーンスターチ・米こうじ(タイ産・国産)・麦こうじ
●アルコール分:20%
内容量:180ml
(以上、ラベルより転記)




都城酒造さんの焼酎は、これまでに米焼酎のあなたにひとめぼれ こめ 180mlをいただいております。
今日いただくこの焼酎には、“いも”と表示されています。
5748.JPG
5749.JPG

ということは芋焼酎なのでしょうけれど、原材料には麦やら米やら麦こうじやらと、芋以外の材料も表示されておりました。
さらにはコーンスターチ(トウモロコシから抽出し精製したでんぷん)まで使用されているのだとか。
5742.JPG

だからでしょうか、お値段はいたって安価でした。
5745.JPG
どちらかはわからないのですが、この焼酎に該当する記載は上か下かのいずれかでしょう。


ところで、芋以外の材料を使用していても、芋焼酎を名乗るのことは可能なのでしょうか?

日本酒造組合中央会が定めた公正競争規約によれば、“芋焼酎”のような冠表示特定の原材料の使用を強調する表示は、その原材料が(1)使用されている原材料の全部又は大部分(50%以上)を占めるときや、(2)使用比率が使用原材料のうち最大であるとき、あるいは(3)原材料の使用比率を施行規則の定めるところにより冠表示に併記して表示するとき、のいずれかに該当する場合には可能なのだそうです。(単式蒸留しようちゆう製造業の表示に関する公正競争規約4条(1)イロハ、同施行規則3条、不当景品類及び不当表示防止法31条1項)

ということは、今日いただくこの芋焼酎は、きっと上記(1)または(2)のいずれかに該当するのでしょうね。


それよりも、今日はぜひとも触れておきたいことがあるのです。

この焼酎には、焼酎乙類と表示されております。
5743.JPG

一方、これまでにいただいた焼酎の多くには、本格焼酎と表示されておりました。
5730.JPG
5713.JPG

今日いただくこの焼酎には、なぜ本格焼酎ではなくて、焼酎乙類と表示されているのでしょうか?


結論から言うと、コーンスターチは本格焼酎の原材料として認められていないものの、焼酎乙類、すなわち単式蒸留焼酎の原材料としては認められていることから、この焼酎は焼酎乙類を名乗っているのではないかと、私は判断させていただきます。

本格焼酎と焼酎乙類とは、どのように異なるのでしょうか?
このことを理解するためには、まず“焼酎”という定義にはどのようなものが含まれているのかについて理解する必要があります。

ということで、いつもの如くここから長い長いウンチクたれたれが始まるところなのですが、今日はそれを後回しにして、まずはこのコーンスターチを使った芋焼酎をいただいてみたいと思います。



まずは、生(き)でちょっとだけ。
5744.JPG

華やかな香りが豊かで、口の中でふわっと広がって鼻へと抜けていきます。
芋っぽい風味もありますが、これはややひかえめです。
それに、穀物由来と思われる穏やかでふっくらとした香ばしさが少しあるみたいですね。
酸味や甘みはひかえめです。
アルコール香が少しあって、それにちょいピリでした。


次に、お湯割りで。
5747.JPG

これは香りがかなり華やかですね。
芋っぽい風味やふっくらした香ばしさは少し薄まったようですが、それでもその存在ははっきりしています。
それに、お湯割りにすると酸味、とくにさわやかさが少し出てきたようです。
甘みはひかえめです。
また、軽い苦味もかすかに出てきたようです。


最後に、残ったものをロックで。
5746.JPG

ロックにすると、トロッとした口当たりが出てきましたよ。
香りは全体的に引きますね。
逆に甘味はかすかではあるものの、その存在がわかるようになりました。
また香りが引いたせいか、ふっくらとした香ばしさや苦味がよくわかるようになりましたよ。


お湯割りだと香りが豊かで、ロックだと香ばしさがよくわかる、おいしい焼酎でした。
口あたりが軽めで、味わいの芯というか腰というか、柱になる部分は弱いようです。
でも香りが豊かで、それにじっくりと味わうとふっくらした香ばしさも感じることができて、面白い焼酎だと思いました。
このお値段でここまで楽しませてもらえるのでしたら、満足ではないでしょうか。





★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

“連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)”、“単式蒸留焼酎(焼酎乙類)”、“本格焼酎”について


(1)連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)と単式蒸留焼酎(焼酎乙類)

“焼酎”という名称の酒類には、連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)と単式蒸留焼酎(焼酎乙類)とがあります。

まず、連続式蒸留焼酎とは、廃糖蜜(さとうきびの搾りかす)などに酵母を添加して発酵させて、それを連続式蒸留機にかけてアルコール度97%~99%の蒸留限界近くにまで精製したのち、加水して度数36%未満(製品化する際には概ね25~20度程度)にまで下げたものです。
それ故、連続式焼酎の成分はほぼアルコールと水とのみで、無味無臭であることが特徴です。
この連続式蒸留焼酎の代表例ともいうべき製品は、酒屋さんで4リットルのデカいペットボトルで販売されている焼酎ではないかと、私は思います。

一方、単式蒸留焼酎は、芋、米、麦、そばなどの様々な原材料を用いて発酵させたもろみを単式蒸留器で一度だけ蒸留し、それを加水して度数45%未満(これも製品化する際には概ね25~20度程度)に下げたものです。
単式蒸留焼酎の場合には一度しか蒸留しないことから、原材料に由来する風味が蒸留後の製品中に残存し、独特の味わいを作り出しているのです。
それ故、単式蒸留焼酎の場合は、“芋焼酎”、“米焼酎”、“麦焼酎”などのように、焼酎という名称の直前に原材料を明示していることが多いのではないでしょうか。


ところで、平成18年の法改正以前は、連続式蒸留焼酎は“焼酎甲類”と、そして単式蒸留焼酎は“焼酎乙類”としてそれぞれ規定されておりました。
ですが、そもそもなぜ、連続式蒸留焼酎が“甲類”で、単式蒸留焼酎が“乙類”なのでしょうか?

これについては、連続式蒸留焼酎のほうが大量生産が可能で税収額が多かったことによるのだとか。
このことについて、文献では以下のように触れられておりました。
明治の後半34年ですが、ドイツから導入された連続式蒸留器による原料用アルコールを希釈した焼酎が戦後焼酎甲類に分類されました。伝統的な日本の蒸留酒である焼酎がなんと焼酎乙類に分類されたわけです。世の中一般に成績評価が甲・乙・丙・丁という時代に、甲と乙に分類された。これは大変なハンディキャップです。伝統性文化性という面からではなくて、税収がどちらが大きいかということで甲と乙に決められたようです。さすが酒税法だなということを改めて認識せざるを得ないと思います。」(※1)

なお、連続式蒸留焼酎は平成18年改正以前の名称である“焼酎甲類”を、単式蒸留焼酎は同じく従前の名称である“焼酎乙類”を、それぞれ「一般に慣熟した呼称」として名乗ってよいことになっております(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律86条の5、同施行令8条の3第4項、同施行規則11条の5)。
それ故、連続式蒸留焼酎は焼酎甲類を、単式蒸留焼酎は焼酎乙類を、今でもそれぞれ名乗ることができるのです。


(2)焼酎乙類と本格焼酎

単式蒸留焼酎(焼酎乙類)の中には、“本格焼酎”を名乗るものも少なからず存在します。
なぜ、単式蒸留焼酎(焼酎乙類)ではなくて、本格焼酎なる名称を名乗るのでしょうか?
これを理解するためには、単式蒸留焼酎(焼酎乙類)の規定の仕方に着目する必要があるのです。

単式蒸留焼酎(焼酎乙類)は、その原料に関して他の酒類と区別する上で必要となる制約に抵触しないかぎり、どのような材料を用いて製造してもよいことになっているようです(酒税法3条10号へ、同10号柱書、同9号イ~二)。
(たとえば、麦芽(ウィスキーと区別)や果実(ブランデーと区別)、糖分を含む物質(ラムと区別;ただし黒糖焼酎はOK)などはダメ。)
このことは、酒税法3条10号イ~ホで穀類、芋、麹、焼酎粕、黒糖などを列挙したあとで、同号へで「イからホまでに掲げる酒類以外の酒類でアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの」という包括的規定があることからわかります。

この制度については、文献に以下のような記述がありました。
 現在の焼酎乙類の定義ですけれども、これはアルコール含有物を蒸留したものを、連続式蒸留器以外の蒸留機で蒸留したものの中から、ウィスキーだブランデーだ、ウォッカだジンだという固有の製法基準を持ったものを除いたものということになっています。
 かつて日本には蒸留酒というと焼酎しかなかったわけですから、当然のことと言えば当然のことかもしれませんが、ウィスキーが入ってくる、ブランデーが入ってくる、ウォッカが入ってくる、その都度それぞれの固有の製法が規定されていきました。それ以外のものは全部焼酎だという非常に消極的規定のあり方です
 焼酎甲類のほうが、逆に連続式蒸留器で蒸留したものという明確な規定がある分、こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、まだました。乙類については連続式蒸留器以外の蒸留器という規定になっている。まさに蒸留酒の中の残り物の中の残り物が焼酎乙類だというような規定になっているわけです。」(※2)


一方、本格焼酎は、単式蒸留焼酎(焼酎乙類)のうち、米焼酎(全麹造りを含む)、麦焼酎(同)、芋焼酎、粕取(酒粕)焼酎、奄美の黒糖焼酎のほか、穀類又はいも類、これらのこうじ、水及び国税庁長官が定めた49品目の原料を用いて発酵させたもろみを単式蒸留器にて蒸留した焼酎に限定されております。(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則11条の5、酒税法3条10号イ~ホ、同施行令4条の2第2項、同施行規則3条の2、種類の表示を本格しようちゆうの呼称によることができるしようちゆう乙類の原料を定める件(平成14年10月28日国税庁告示第7号)

要するに、単式蒸留焼酎(焼酎乙類)のうち、特定の原料のみを用いて造られたものだけが本格焼酎を名乗るのことができるのであって、すべての単式蒸留焼酎(焼酎乙類)が本格焼酎を名乗ることができるわけではないのです。
(焼酎乙類>本格焼酎)


これらのことをふまえて、今日いただいたこの焼酎を検討します。
この焼酎の原材料には、コーンスターチが含まれております。
5742.JPG
しかしコーンスターチ、すなわちトウモロコシから抽出し精製したでんぷんは、本格焼酎の原料として規定されておりません。
それ故、包括的規定を有する焼酎乙類には含まれるものの、本格焼酎には該当しないことから、本格焼酎を名乗ることができないのではないかと、私は考えます。


(3)なぜ、こんな制度になっているのか?

単式蒸留焼酎(焼酎乙類)という定義の中に、なぜ本格焼酎という定義が含まれているのでしょうか?

それはどうやら、上記(1)で紹介した甲類に対する“乙類”という名称を焼酎業界が“劣っているもの”と評価して、これを払拭しようとして、あるいは上記(2)で紹介した焼酎乙類の消極的規定のあり方を嫌って独自性を確立するために、あらたに本格焼酎という定義を定めることを国に対して求めた結果なのだとか。
このことについて、文献では以下のように紹介されておりました。

 不幸なことに昭和二十年ごろまでの学業成績簿が、甲・乙・丙・丁・戊の五段階評価であったため、乙類焼酎は、甲類焼酎より低級なものと一般概念を形成する結果になった。この不当な評価を払拭するため、昭和四十六年から、乙類焼酎を本格焼酎と表示するようにはなったのだが、酒税法上は今も甲類・乙類に分類されたままである。」(※3)

 どういう原料を使おうと、どういう造り方をしようと、他の蒸留酒の領域を侵さなければ、すべて焼酎乙類であるわけです。ただ、焼酎乙類とは何かという法的根拠が全くない。将来にわたって他の酒類と対等に競争していくうえには、このような消極的定義ではなくて、自らの姿をきちんと説明できる、積極的定義が必要であるという考え方が業界の中に広がってまいりました。長期にわたって国民的信頼を得続けていく、そしてさらに国際的な評価を得ていくためには、しっかりとしたカテゴリーを確立して、本格焼酎とは何かということを消費者に明確に訴える法令の根拠をもたなければならないという方向に、業界の考え方が向かったわけです。」(※2)


(※1)森永和男(株式会社杜の蔵代表取締役)『焼酎乙類から本格焼酎へのイメージ転換』(第43回日本醸友会シンポジウム.4)p.52(醸造論文集 59巻 p.51-59 2004 日本醸友会)
(※2)(※1)p.54
(※3)鹿児島県本格焼酎技術研究会『かごしま文庫(62) 鹿児島の本格焼酎』p.28(2000.6 春苑堂出版)
nice!(32)  コメント(6) 

《焼酎》21.日向木挽 黒 200ml [9945.宮崎県の焼酎]

5729.JPG
雲海酒造株式会社綾蔵
宮崎県東諸県郡綾町大字南俣字豆新開1800番5

本格焼酎
原材料 さつまいも・米麹(国産米)
アルコール分 20度
内容量 200ml
(以上、ラベルより転記)




昨日は雲海酒造さんの芋焼酎 木挽BLUEをいただきました。
今日もひきつづき、雲海酒造さんの芋焼酎をいただきます。
5730.JPG

今日いただくこの芋焼酎は、黒麹で仕込んであるのだとか。
5731.JPG
ということは、昨日いただいた木挽BLUEは白麹仕込なのでしょうか?


まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
5732.JPG

やはり黒麹らしい香ばしさがありますが、その香ばしさは穏やかです。
それに軽い苦味がちょっとだけあるみたいです。
芋の香りは木挽BLUEと同じくらいで、重みや臭みはないもののしっかりした厚みのある香りです。
甘味も同じくらいでしょう。
アルコール香はやっぱりちょっとあって、それにちょいピリですね。


次に、お湯割りでいただきます。
5733.JPG

香ばしさがはっきりしてきました。
軽い苦味も残るものの、嫌味なくキリッとしています。
芋の風味は薄まることはなく、厚みを感じますよ。
甘味もはっきりしています。
芋の香りと甘味とを、香ばしさとわずかな苦味とが引き締めておりました。


最後に、残りをロックで。
5734.JPG

香ばしさと苦味とは、これが一番はっきりしていますね。
香ばしいというか、カビっぽい感じもありますよ。
芋の香りは少し引くものの、それでもはっきりしています。
甘みはあるものの、香ばしさと苦味とが前に出てきて引き締めているようです。


私としては、やっぱり香り豊かなお湯割りが好みでした。
黒麹仕込の特徴ってのは、カビっぽい香ばしさや苦味で、それらが焼酎の味わいを引き締めるところにあるのでしょうか?
この日向木挽黒は、黒麹の香ばしさや苦味と両立するくらいに芋の香りや甘味がしっかりしておりました。

でも、私としては、木挽BLUEの芋の香りや甘味が前に出てくる味わいのほうが好みの味わいでしたよ。
これだけ風味がしっかりしているのですから、それをゆったりと味わうためには香ばしさや苦味はいらないのではないかと感じましたとさ。
nice!(34)  コメント(2) 

《焼酎》20.木挽BLUE 200ml [9945.宮崎県の焼酎]

5717.JPG
雲海酒造株式会社綾蔵
宮崎県東諸県郡綾町大字南俣字豆新開1800番5

本格焼酎
原材料名:さつまいも・米麹(国産米)
アルコール分:20度
内容量:200ml
(以上、ラベルより転記)




“そば焼酎雲海”で有名な雲海酒造さん。
今日はその雲海酒造さんが造った芋焼酎をいただきます。
5718.JPG
会社の紹介は、“そば焼酎雲海”をいただく際のネタとしてとっておきます。


今日いただくこの木挽BLUEですが、最近発売された刊行物では、以下のように紹介されておりました。
そば焼酎の酒蔵が生み出した甘味と香りの高い芋焼酎
そば焼酎で有名な雲海酒造が黄金千貫を原料に醸した芋焼酎。工場のある綾の清らかな水で仕込み、バナナのような甘味のある逸品。香りが高く、軽くてキレがよい。」(※1)

果たして本当に甘味と香りが高くて、軽くてキレがよいのでしょうか?
それを確かめるべく、いただいてみたいと思います。


まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
5719.JPG

アルコールの香りがちょっとはっきりしていて、それにちょいピリですね。
でも、芋そのもののの香りをふわっと感じますよ。
この香りには重さや臭みはないものの、しっかりした厚みのある香りです。
それに、甘味も少し感じますよ。
苦味はなく、酸味も感じません。


ここで、お湯割りでいただきます。
お湯割りの写真を撮影することを忘れてしまいました!

ありゃ。
これ、うまいね!
お湯割りにすると、ふかし芋みたいなふっくらした香りがふわっと立ってきましたよ。
やはり重さや臭みはないものの、厚みのあるしっかりした香りです。
アルコール香やピリピリ感が引いて、飲みやすくなっております。
でも、甘みはちゃんと残っていますね。
それに酸味がちょっとだけ出てきて、口あたりをさっぱりとしてくれているようです。
苦味や雑味はありません。


最後は、残りをロックで。
5720.JPG

ロックにすると、とろっとした口当たりになるようです。
生(き)で感じたちょいピリが残って、それに苦味がちょっとだけ出るようですね。
でも香りが豊かで、甘味もしっかり感じます。



私としては、やはり香りが豊かで口当たりさっぱりのお湯割りが好みの味わいでした。
言うなれば、白霧島よりも香りに厚みがあってしっかりしているものの、さつま白波ほど重さや臭みがなくて穏やかな風味の芋焼酎でした。
にアルコール度数が20度でしたが、それでも甘味があるためか、コクを感じましたよ。

この芋焼酎、かなりうまいんじゃないでしょうか!
これはぜひとも、宮崎の芋焼酎もいろいろと試してみたくなってきましたよ。
昨今の報道では、今年の9月に飛来した台風18号の影響で現在不通となっている日豊本線の臼杵-佐伯間は、12月下旬には運転再開の見込みなのだとか。
来年には、宮崎県へ行ってみようかな。


(※1)『焼酎一個人 vol.1 今、最高においしい焼酎(BEST MOOK SERIES 47)』p.10(2017.7 KKベストセラーズ)



★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

ところで、関東地方では久々の晴れた週末となりました。
そこでちょっとだけ出かけて、酒集め&焼酎集めをしてまいりましたよ。

有楽町駅の近くにある、鹿児島県のアンテナショップへとやってまいりました。
5721.JPG
5722.JPG

一番左のペットカップは、“桜島”の前割り焼酎でした。
中の2本は奄美大島の黒糖焼酎ですが、これらを入手したことで、黒糖焼酎についてまとめて報告しなければならなくなってしまいましたよ
右の300ml瓶は、鹿児島県唯一の清酒蔵が造った清酒(いわゆる日本酒)です。
5723.JPG

ちょっと歩いて、山形県のアンテナショップで玉こんをいただいて、
5724.JPG
5725.JPG
味がしみていてまいう~!

広島県のアンテナショップでは、有料試飲コーナーで天寶一の純米をいただいて、
5726.JPG
5727.JPG

その広島県のアンテナショップでこれらを入手して帰ったとさ。
5728.JPG

nice!(31)  コメント(2) 

《焼酎》11.わかむぎ 20度 200ml [9945.宮崎県の焼酎]

5620.JPG
高千穂酒造株式会社
宮崎県西臼杵郡高千穂町押方925

本格焼酎
アルコール分 20度
容量 200ml
原材料 麦・麦こうじ
(以上、ラベルより転記)





今日は、宮崎県は高千穂で造られた麦焼酎をいただきます。
5621.JPG

蔵がある場所は、広い宮崎県の中でも北西部の熊本県に近いところのようですね。




いただく前に、宮崎県の焼酎についてわかったことを2点、披露させていただきます。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



(1)“宮崎県の焼酎”と言えば?

九州では、焼酎が広く飲まれているようですね。
それに、各地域ごとにいろいろな原材料を用いて焼酎が造られているみたいです。

鹿児島県といえば、さつまいもを使った芋焼酎。
熊本県は球磨川流域で造られる、米を100%用いた球磨焼酎。
大分県では、歴史こそ浅いものの、麦100%の大分麦焼酎が造られています。
また離島に目を移せば、米麹に麦を掛けて造られる壱岐焼酎や、奄美の黒糖焼酎なんてのもありますね。
そして沖縄では、タイ米を用いた全麹造りの泡盛が広く飲まれているようです。
(なお、“泡盛はもともとは上流階級向けで、かつて庶民には自家醸造の芋焼酎が広く飲まれていた”旨の記述に出会ったのですが、このネタを掘り下げる楽しみは泡盛をいただく機会が訪れた日までとっておきます。)


では、宮崎県では、いったいどんな焼酎が飲まれているのでしょうか?
先日いただいた白霧島黒霧島は芋焼酎でしたが、それを造ったのは宮崎県都城市に蔵を置く霧島酒造さんでした。
また有名なところでは、“そば焼酎雲海”や“麦焼酎ひむかのくろうま”なんてのも宮崎県産ですね。

宮崎県を代表するような焼酎は、果たして存在するのでしょうか?
このことについて、文献には以下のような記述がありました。

 では、「宮崎の焼酎は何焼酎か?」と聞かれても、薩摩焼酎のように「イモ」とか、球磨焼酎のように「コメ」、あるいは壱岐焼酎のように「ムギ」と断ずることはできない。最近で“黒ブーム”に火を付けた霧島酒造(都城市)の「黒霧島」に代表されるイモが非常に強いが、1970年代の第1次焼酎ブームにおける宮崎県産本格焼酎の興隆は、雲海酒造(宮崎市)の「雲海」(ソバ)や神楽酒造(高千穂町)の「くろうま」(ムギ)などのヒットによってもたらされた。このほか、トウモロコシやクリ、米粉を用いたものもあり、加えて、本格焼酎(乙類焼酎)とは蒸留方法が異なる甲類焼酎の生産も見られた。このバラエティーの豊かさに、“焼酎連邦”とでも呼ぶべき、宮崎の焼酎の最大の特徴がある。宮崎県酒造組合もこれを生かし、「宮崎の本格焼酎」を商標登録、そのブランド化に取り組んでいる。」(※1)

 宮崎県には2007年8月現在、焼酎メーカーが39社ある。大分県に近い県北部では主に麦、米、ソバのほか、トウモロコシ、クリなどの焼酎が、熊本県に近い中西部では主に米焼酎が飲まれている。県南部は昔、薩摩藩の支配下にあったことから、ずっと芋焼酎が飲まれている。もちろん県北や県央、中西部など県南以外でも芋焼酎を造る蔵は多数あり、愛飲されているので、明確に地域を区別することはできないが、多種多様な焼酎がモザイクの装飾画のように混在している宮崎は、よく「本格焼酎のデパート」とか「バラエティに富む焼酎王国」などといった言葉で表現される。」(※2)

宮崎県は鹿児島県とならぶ焼酎王国であり、他県に類のない種類の原料を用いた焼酎が造られています。宮崎は「バラエティーに富む焼酎王国」です。それが宮崎焼酎の一大特徴であり、人々に愛飲されている理由でもあります。」(※3)

宮崎県では藩政時代、延岡、高鍋、佐土原、飫肥、都城(島津)と小藩が分立していた歴史的事情もあり、焼酎文化もそれぞれの地域の伝統や風土を反映して、その原料や飲まれ方も特色を有しています。
 鹿児島県に近い南部の日南や都城地区では、芋焼酎が飲まれますが、これらの地区は県下最大の甘藷の生産地でもあり、焼酎の原料がその地域の農業生産物と深く関わっているよい例です。この二地区は、とくに焼酎が好んで飲まれているところでもあります。」(※4)
 宮崎平野を中心とする中部地方では、芋焼酎も飲まれますが、最近では麦焼酎も多くなっています。これに米焼酎が加わります。小林、えびのでは球磨地方の影響を受けているので米焼酎が好まれています。小林地区で最近まで、白糠焼酎(米の粉で造った焼酎)が多く造られていたのはそのためです。
 北部の西臼杵、東臼杵の二郡では、麦や米製のほか、ソバ、トウモロコシ、ヒエ、アワなどの雑穀焼酎が造られています。ただ、延岡地区では清酒が息づいています。旧藩時代(内藤藩)から関東出身の武士が多く、そのため清酒を好む伝統が続いているのです。また県内随一の工業地帯であり、移入者が多く、地酒としての焼酎愛好者が少なかったのですが、最近は多くなってきています。」(※5)

清酒の製造には時の権力が介入しがちですが、焼酎もきっとそうだったのかもしれませんね。
それ故に、近世において権力が分散していた宮崎県では、それぞれの権力が地域ごとに独自の材料を用いて焼酎を製造させていたのでしょうか。

あるいは察するに、宮崎県は南北に長く広がっており、かつ西には雪降る九州山地を背負いつつも、東は黒潮が流れる太平洋に面していることから、域内の気候風土はきっと多種多様なのでしょう。
それ故に、栽培できる作物にも地域ごとにちがいがあって、それが焼酎の原料のちがいに影響しているのかもしれませんね。

いずれにせよ、宮崎県ではさまざまな原材料を用いた多種多様な焼酎が造られていることがわかりました。




(2)なんで20度なの?

今日いただくこの麦焼酎は、アルコール度数が20度でした。
5622.JPG

これまでにいただいた焼酎はみな25度でしたが、なぜかこれは20度でした。
大手の蔵元では同一銘柄で20度のものと25度のものとの双方を商品化しているところもあるみたいですが、この麦焼酎が販売されていた棚では25度のものを見かけませんでした。


どうやら宮崎県では、焼酎といえばアルコール度数20度のものが一般的なのだとか。
このことについて、文献には以下の記述がありました。
 宮崎の焼酎のもう1つの特徴は、アルコール度数だ。鹿児島など他県では25度が一般的だが、宮崎は珍しい“20度圏”。ロックでも飲みやすいことから「アルコール離れ」が叫ばれる昨今、新たな市場の開拓に優位性があるとする意見も少なくない。」(※6)

渡邉さん「宮崎の人たちが飲むのは昔からほどんどが20度の世界です。25度の鹿児島の芋焼酎と比べると、鹿児島の芋焼酎は雄々しいといった感じだと思うんですが、宮崎の芋焼酎は対照的にやさしい酒質とよく言われます。20度なのでそのまま生やロックで飲む方も多いですし、お湯割りで5対5の半々くらいに割ると10度くらいになって、口当たりも非常に柔らかくなる。5度の違いですが、その分、宮崎の焼酎は前割りがしてあるということでもあり、飲みやすいと思います。全国的に宮崎が鹿児島と肩を並べる消費量を誇っているのは、そんな所にも理由があるのかもしれません」」(※7)

たしかに20度の焼酎のほうが、25度のものよりもアルコールの刺激や風味が抑えられていて飲みやすいかもしれませんね。
でも、ただ飲みやすいという理由だけで、はたして他県産のものと異なった度数を採用して販売し続けられるものでしょうか?
だって、25度のほうが少ない量で酔えますから、買い手にとってはそのほうが経済的であるとも言えるはずです。


ところが、20度の焼酎が飲まれている理由は単に飲みやすさだけではなくて、戦後における“闇焼酎”対策の名残りであって、かつそれが宮崎県だけに残り続けているためでもあるらしいのです。
このことを示す記述が、ここまでに引用した文献中にありました。

 宮崎といえばアルコール度数20度の焼酎がいまも飲み続けられている。これも宮崎のユニークな点だ。メーカーも県内に出荷する焼酎は20度、県外用は25度と分けて造っている所が多いと聞く。でも、なぜ宮崎だけ20度なんだろう。資料によるとその理由にはこんな歴史があった。
 「闇焼酎が全盛期を迎えた昭和20年代後半まで、密造酒対策に追われる税務署と地域住民との小競り合いが続いた。国税庁はとうとう53(同28)年、租税特措法を改正。それまで認められていなかったアルコール度数20度以下の焼酎に対して一段と低い税率を設定し、20度焼酎の製造を許可した。蔵元に低価格の焼酎造りを許可し、密造酒に対抗させるのが目的だった。20度焼酎は、熊本や鹿児島などにも普及。しかし、いつの間にか他県では姿を消し、宮崎にだけ20度が残った」(宮崎日日新聞04年10月18日付朝刊「みやざき焼酎進化論第4部」より抜粋)」(※8)

太平洋戦争前後の数年間は食糧難の時代であり、焼酎党にとっても最もつらい時代でした。酒類不足から、いきおいヤミ焼酎、悪質のカストリ(粕取り)焼酎が出まわるようになりました。」(※9)
 税務署や警察の取り締まりにもかかわらず、密造酒が横行しました。中でも宮崎市の一地域では大々的に密造酒が造られその焼酎は北九州にまでおよびました。宮崎では昭和二十八年から三十年頃が密造酒製造の最盛期でした。ヤミ焼酎とは密造酒のことですが、これは密造酒製造の脱税と無免許販売で厳しく取り締まられたのです。密造酒取り締まりは、庶民に酒税のついた酒を飲ませるための手段であり、一方、これを造る人たちにとっては死活問題であり、密造は生きるための最後の手段でした。ヤミ焼酎とはいえある意味では庶民のアルコール飢餓を救ったのです。当時の密造の論理は敗戦という大きな犠牲の落とし子に帰することができるでしょう。
 宮崎ではこの頃から酒税優遇措置の点からアルコール分二十度の焼酎が多く出荷されるようになります。それは密造酒と大いに関係があったのです。宮崎市の一角で造られた密造酒は九州一円に販売されていました。そのため正規の酒造場の二十五度焼酎の販売量が大幅に低下し、密造酒のみがよく売れました。それは酒税のついた焼酎が高価で、しかも容易に手に入り難いために皆密造酒を求めたからです。困りはてた国税庁は、昭和二十八年頃に酒類特別措置法(本法には二十五度焼酎の規定のみ)をつくり、密造酒に対抗するため特別に税金の安い二十度焼酎の販売を許したのです。これが酒税優遇処置による二十度焼酎誕生の一幕です。したがって、今でも鹿児島、熊本にも一般に二十度焼酎は販売されておらず、宮崎県のみが優先的にこの焼酎を販売しているのです。」(※10)


20度焼酎誕生のいきさつはわかりましたが、ではどうして宮崎県だけ、今日においても20度の焼酎が残ったのでしょうか?
終戦直後と比較して今日においては密造酒対策の必要は低下しているはずですが、それでもなぜ、今でも宮崎県では20度焼酎が主流なのでしょうか?

すみません。
このことについて解説している文献の記述に出会うことはかないませんでした。

ここからは、私の根拠なき予想です。
地域ごとに独自の材料を用いて焼酎が製造されていた宮崎県では、醸造に関して統一的な施策を講じる際にも、きっと地域ごとの事情を考慮する必要があったことでしょう。
それ故に、お上やら組合やらからの県全体を束ねる統制が効きづらく、よって闇焼酎対策の必要がなくなった後にも25度への改醸指導の効果が行き届かなかったのではないでしょうか?
あるいは逆に、県内の実情を考慮した組合が、全蔵元の総意として県を挙げて25度への改醸を拒否したのかもしれませんね。

その影響が今日まで引きずられて、飲みやすさといった後づけの理由が付加されつつ存続しているのではないでしょうか?




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

私の気が済んだところで、そろそろいただいてみたいと思います。

蔵元さんのWebsiteでは、この麦焼酎について「大麦の精白歩合を60%以下にし、雑味のないすっきりした味わいを実現。常圧・減圧蒸留2種類の原酒をバランスよくブレンドし、高い香りとキレをもつ本格むぎ焼酎に仕上げました。」と紹介されておりました。

常圧・減圧のブレンド焼酎をいただくのはこれがはじめてですが、果たして味わいに双方の良さを引き出すことができているのでしょうか?(常圧蒸留・減圧蒸留については、かつてこちらでまとめております。
ラベルには、それらしいことが一応書いてありましたよ。
5623.JPG

このことをたしかめるべく、いただいてみたいと思います・




まずは、生(き)、すなわちストレートで。
5624.JPG

まず最初に、ちょっとピリッと感じますね。
それとともに、ふんわりとした香ばしさを穏やかに感じ、それが鼻へ抜けていきます。
軽い苦味もかすかにあるみたいです。
アルコール香はありますが、それほど気にはならない程度です。




次に、お湯割りで。
5625.JPG

酸味がちょっと出てきましたね。
甘みも弱めながらに感じます。
香ばしさは後退したものの、穀物っぽい風味が前に出てきたようです。
苦味は後退していますね。




最後は、ロックで。
5626.JPG

香ばしさは生(き)と同じ程度に感じます。
苦味は引いているものの、甘みも後退しています。
ややドライで、キリッとした風味を感じますね。



私としては、やはり穀物の風味を感じてまろやかだったお湯割りが好みでした。
常圧蒸留にありがちな焦げ臭さはなかったことから、常圧蒸留で製造された焼酎のブレンド割合はおそらく少ないことでしょう。
でもお湯割りで感じた穀物の風味や、生(き)やロックで感じた香ばしさは、もしかしたらブレンドの成果なのかもしれませんね。
それでも雑味がなくてきれいな味わいで、おいしくいただくことができました。

ラベルに書いてあったとおり、たしかに“麦本来の深い香りを残しながらも、飲みやすさを追求した本格焼酎”でした。

(※1)『焼酎連邦・宮崎―バラエティー豊かな“20度圏”』p.157(財界九州 52巻10号 p.157-160 2011.10 財界九州社)
(※2)西松宏・繁昌良司『芋焼酎を極める』p.008(2007.10 ソフトバンク・クリエイティブ株式会社)
(※3)小川喜八郎・永山久春『本格焼酎・南九州の風土を味わう』p.181(2002.6 鉱脈社)
(※4)(※3)p.182
(※5)(※3)p.183
(※6)(※1)p.157-158
(※7)(※2)p.010-012
(※8)(※2)p.010
(※9)(※3)p.219
(※10)(※3)p.220
nice!(31)  コメント(6) 

《焼酎》8.あなたにひとめぼれ こめ 180ml【追記あり】 [9945.宮崎県の焼酎]

5591.JPG5592.JPG
株式会社都城酒造
宮崎県都城市乙房町2887番地1

焼酎乙類
●原材料名:米(国産)米こうじ(タイ産・国産)
●アルコール分:25度
内容量 180ml
(以上、ラベルより転記)




この米焼酎ですが、一合でなんと138円と破格の安さでした。
5593.JPG
25度の焼酎で180~200ml詰のものであれば概ね200円前後のものが多いようですので、これはかなり安いのではないでしょうか。


そんなこの安価な米焼酎ですが、品質表示を確認してみたところ、麹米にタイ米を使用しているとのだとか。
5594.JPG
138円という値段は安いタイ米を使えばこその効果かとも思ったのですが、タイ米は麹米にしか使われておりませんでした。
麹米のみということは、タイ米の使用量は米全量の3分の1以下でしょうから、それだけでこの価格を維持できるわけではないでしょう。

この低価格を実現できた理由については興味深いところですが、それはまたの機会に調べてみたいと思います。
逃げたな。


価格の話はさておき、どうやらタイ米は、麹造りに向いているのだそうです。

これは芋焼酎の製麹に関する記述ですが、タイ米を麹に使用する利点について、文献では以下のように紹介されておりました。
 原料米は、ジャポニカ米とインディカ米の両方が用いられている。インディカ米は、主にタイ国産のタイ米が使われている。この米は吸水性が低く、粘りがほとんどないことが特徴である。そのため焼酎造りにおいて1)浸漬時間を制御する(限定吸水)必要がなく、2)米粒同士が付着しにくく塊ができにくいため麹菌を米表面に万遍なく破精込ませやすく酵素力価格が高くクエン酸生産量の多い麹を造れる、といった利点があり焼酎製造に適した原料として広く利用されている。」(※1)

焼酎の麹が出すクエン酸が焼酎の醸造に果たす役割については、かつてこちらで紹介しております。

そういえば、沖縄の泡盛はタイ米を用いており、かつ全麹仕込(掛米を入れずに、米をすべて麹にして仕込む)のようですが、これにはもしかしたらタイ米麹の持つ上記2)のクエン酸生産能力を最大限発揮させて腐造を防ぐことを狙っているのかもしれませんね。


その一方で、欠点もあるみたいです。
タイ米の場合は、“2度蒸し”をする必要があるのだとか。
このことについて、上記と同じ文献では以下のように紹介しておりました。
吸水率が小さいと生蒸しになり麹菌の繁殖が悪く、アルコール収得量や酒質が低下する。一方、過多になると蒸米がべたつき団子状になり麹が造りにくい。適度な吸水率は25~28%であり、図2の結果から国産米では浸漬は13~20分間に限定する短時間浸漬法(限定吸水法)で行う必要がある。(中略)一方、タイ米は長時間浸漬しても吸水率は23%程度であり、生蒸しになる。そのため、1度蒸した米を70℃程度まで放冷し、米重量の3~10%の水を撒水して再度蒸煮する“2度蒸し”を行うと良好な蒸米となる。」(※2)

2度蒸しの手間はあっても、タイ米を使えば良質な麹を造ることができるということでしょうか。
それ故に、クエン酸による防腐効果を期待する必要がある焼酎の麹には、タイ米が用いられるのでしょうね。


ところで、タイ米って、炊くと独特の香りが出ますよね。
あれって、焼酎の香りに影響を及ぼさないのでしょうか?

このことについて紹介している文献にであうことはかないませんでしたが、清酒については以下のような座談会記録が残っておりました。
東南アジアの細長い外米は
小武山 タイとかビルマ米とか普通外米というのがあるでしょう。あれの米の臭いや外米臭(外米で造った酒のにおいのこと:ブログ筆者注記)も加州米と同系統ですか。
村上 試験所報告の古い中にビルマ米とか蓬莱米(台湾産の米のこと:ブログ筆者注記)とか使った例はあるんですが、条件つきで使えるという結果だけですね。
外池 ビルマ米で27年だったかに私は試験をやらされましたよ。発表はふせてしまったんですが。
川崎 私共はタイ砕米でやってみましたが、外米臭が強く出るようです(資料10(8))。」(※1)

これは私の予想ですが、清酒の場合は搾ったものを(ろ過・加水して)そのまま飲むことからタイ米の香りも残るのかもしれませんが、焼酎には蒸留の工程があることから、タイ米の香りが焼酎の香りに影響することは少ないのでしょうか?
この点については今回は文献の調査が不十分であったことをお詫びしつつ、今後の調査課題とさせていただきます。
また逃げたな。

【2017/10/21追記】その後、焼酎にも外米臭の影響があることを述べていると思われる文献の記述を見つけました。
 山元(㈱河内源一郎商店代表取締役 山元正明氏:ブログ筆者注記)は、第4期を米の品質による転換期と言う。
 昭和46年までは、原料の米は、すべて配給されたタイ、台湾、ビルマの外米を使っていた。しかし、国内の古々米が余っているというので、沖縄を除き、外米輸入が一切禁止となった。内地米を使うようになって、くさみがなくなり、スマートな焼酎に変化した。
 「というのは、タイ砕米は唐米袋に入って、暑い船底をゆられてくるわけです。そもそもが精白した屑米でしょ。蒸れる、袋の臭いがつく、船底の独特の臭いがつく。内地米を使うようになって外米臭がなくなり、香りがよくなったんです。スマートないも焼酎になった。このとき、県外の人に焼酎のうまさを認められるきっかけとなりました」
 鹿児島のいも焼酎が県外デビューするきっかけとなった転換期である。
 しかし、現在は内地米ばかりでなく外国の米を使う醸造場も多くある。それこそが個性なので、それこそが醸造場の杜氏の頭の使いどころだろう。個性なくして、なんの銘柄であろう。」(※4)


お待たせいたしました。
ウンチクをたれ切って気が済んだところで、そろそろいただいてみたいと思います。



まずは、生(き)、すなわちストレートで。
5595.JPG

25度ですからね、やはりアルコールの香りがはっきりしています。
でも、米の香りも弱めながらにふわっと感じます。
甘味もかすかにあるみたいです。
それに、喉を通ったあとで、ごくかすかではあるものの、香ばしさを穏やかに感じます。
苦味や雑味はまったくありません。



次に、お湯割り(焼酎:お湯=6:4)で。
5596.JPG

アルコールの香りは弱まりました。
米の香りも弱まるものの、穏やかになりました。
香ばしさは消えましたが、その一方で芋焼酎みたいな華やかな香りがちょっとだけ出てきたみたいです。
また甘みはそのままですが、しかし酸味が少し出てきましたよ。
苦味や雑味はまったくありません。



最後は、残りをロックで。
5597.JPG

アルコール香は生(き)と同じくらいはっきりしています。
一方で、軽い苦味がちょっと出てきました。
それに香りと甘味とが引っ込んで、キリッと引き締まったようでした。



私としては、淡めながらも香りが豊かで甘味や酸味を感じることができたお湯割りが好みでした。
たしかに淡めの風味でしたが、それでも飲み方を変えることで味わいのちがいを感じ取ることができて、とても楽しませていただきましたよ。
安くても、面白い焼酎でした。


(※1)髙峯和則『本格焼酎製造技術』p.5(Foods & food ingredients journal of Japan 214巻1号 p.4-13〔『特集:本格焼酎 その歴史、技術、文化』(p.1-27)内〕2009 FFIジャーナル編集委員会)
(※2)(※1)p.6
(※3)『座談会 外米の問題点をさぐる』p.26(日本醸造協会雑誌 62巻1号 p.21-31 1967.1)
(※4)大本幸子『いも焼酎の人びと』p.72-73(2001.10 世界文化社)
nice!(38)  コメント(2) 

《焼酎》6.黒霧島 200ml【追記あり】 [9945.宮崎県の焼酎]

5552.JPG5553.JPG
霧島酒造株式会社
宮崎県都城市下川東四丁目28番1号

原材料/さつまいも、米こうじ(国産米)
アルコール分/25%
内容量/200ml
南九州産さつまいも100%使用
(以上、ラベルより転記)




昨日の白霧島に引き続き、今日も霧島酒造さんの芋焼酎をいただきます。
5554.JPG

今日いただくこの黒霧島もいも焼酎ですが、こちらには黒麹菌が使用されているのだとか。
5555.JPG

一方、昨日いただいた白霧島で使用されていた麹菌は、白麹菌でした。
5556.JPG



どうやらこの黒麹菌と白麹菌とは、もともとは同一種だったそうです。
当初は黒麹菌が普及したものの、その中から白色の変異株が見つかって、それを培養した白麹菌が戦後になってから広く使われるようになったのだとか(後掲(※6))。

黒麹菌が使われるようになる前は、焼酎の製麹でも清酒と同じ黄麹菌が使われていたそうです。
しかし、黄麹菌は酸を出さないことから、酵母の増殖には乳酸菌が出す乳酸の力を別途借りる必要があり(酵母は酸に強いものの、雑菌は酸に弱いことから、酸性下では酵母だけが育つのです。)、しかもその酵母の増殖は腐造防止のために低温下でなされる必要があることから、温暖な南九州の気候には合わなかったそうです。

一方、「黄麹菌はクエン酸をほとんど生産しない。黒麹菌と白麹菌はクエン酸を生産し、製麹後半に温度を35℃に下げることでクエン酸の生産を促進することは明らかであるが、その機構は未だ解明されていない。クエン酸の重要性として、本格焼酎の製造は主に南九州や沖縄といった温暖な地域で行なわれるため、もろみが生酸菌などの雑菌に汚染される危険性が高く、汚染すると焼酎の品質やアルコール収得量の低下を引き起こす。しかし、麹に含まれるクエン酸が一次もろみのpHを3.0~3.5に低下させるため、雑菌の増殖が抑制できる。そして耐酸性に優れた焼酎酵母が優先的に増殖し、もろみが腐造することなく発酵が行われる。クエン酸は不揮発性の有機酸であり蒸留しても焼酎には含まれないため、焼酎は酸っぱくならない。」(※1)のだとか。

しかもこの場合、「焼酎もろみは高温(三〇度前後)経過で、しかも長期に発酵させても安全にもろみができる。」(※2)のであって、その理由は上述のとおり「白(黒)麹に生成されるクエン酸がもろみを酸性にしてくれるのでもろみが腐らないのである。」(※2)とのこと。

黒麹菌(と白麹菌と)を用いた醸造は、南九州の温暖な風土に合っていたのですね。



この黒麹菌は、もともとは沖縄で泡盛の仕込みに使用されていたとのこと。
それが大正中期に、まず鹿児島県で焼酎造りに導入され、その後全国へ広がっていったそうです。

このことについては、以下のような記述がありました。
黒麴菌の鹿児島への導入は明治40年頃、鹿児島の泡盛製造に用いたのが最初で、甘藷焼酎には翌年使用されている。」(※3)
その後、明治40年の沖縄泡盛の指導調査にあたった河内源一郎が明治43年に鹿児島税務監督局技師として赴任し、黒麴による甘藷焼酎製造の指導にあたるが、
(中略)
大正2年に泡盛麴菌が酸を夥しく生産することが発表され、大正3年には小試験の結果、垂れ歩合良好で香味もよいということで黒麴菌の試醸が推奨されているので、この頃から甘藷焼酎への使用が急速に普及したものと考えられる。」(※3)

その後、「球磨の米焼酎では昭和15年まで黄麴仕込みでその後黒麴に代わるが、昭和25年でも27%は黄麴を使っていた。壱岐の麦焼酎でも黒麴に代わったのは昭和17年のことである。球磨も壱岐も鹿児島の甘藷焼酎の二次仕込法の導入と同時に黒麴菌の使用が始まっている。」(※3)という記述にあるとおり、黒麹菌は鹿児島の芋焼酎のみならず、熊本の球磨焼酎や長崎の壱岐焼酎(麦焼酎)でも使われるようになったとのことでした。



ですが、この黒麹菌には問題もあったようです。

それは、「しかし黒麹菌は、その名の通り胞子が黒い。この胞子が飛び散って、酒造りの器具や蔵人の衣服などが汚れるという、そんなデメリットがあった。」(※4)のだとか。
またこのことについて別の文献には、「ただ、困ったのはその胞子の黒さである。黒麹というだけあって、見事に真っ黒の米麹ができあがる。室に入っていた破精蓋から黒麹をとり出すと、服はもちろん、鼻から口まで真っ黒になり大変なことになった。外に干していた洗濯物にも付着して汚れた。身内や蔵人はまだしも、困ったのは近所からの苦情だった。そのころ壱岐では味噌、醤油は各家庭で手造りしており、その味噌が黒くなるというのだ。麹菌の胞子は目に見えない大きさだ。黒麹がその原因と分かっていても、どうすることもできなかった。」(※5)という記述すらありました。


その後、黒麹菌の中から色が白い変異株である白麹菌が発見され、戦後になってからそれが普及したことから、黒麹菌を使う蔵は減少したそうです。
このことについて、以下の記述を見つけました。
 その後、沖縄の黒麹菌の中から性質はほぼ同じで色の黒くない菌株が発見され、発見者の河内源一郎の名にちなんで、アスペルギルス・カワチと命名されました。それまで、原料全部が麹である泡盛に比べていも焼酎では麹の割合が少ないために、より麹をすすませて酵素力を高めた麹を使う必要がありました。そのために黒麹の胞子の飛散による作業性の悪さが問題となっていたのです。
 この白麹菌の登場により、黒麹から白麹への転換が急速に進んでいきました。昭和二五年度の熊本国税局管内(鹿児島、宮崎、熊本、大分)では、黒麹七四%、白麹一六%、黄麹一〇%だったものが、昭和四五年度には黒麹、黄麹ともにほとんど使用されなくなり、ほぼ白麹一〇〇%になっています。」(※6)



そんな取り扱いの難しい黒麹菌でしたが、最近ではその味わいが再評価されて、「銘柄に黒が付いた焼酎(例えば、黒〇〇)は黒麹を使ったものであり濃醇なタイプ白麹製は端麗ですっきりしたタイプといわれている。」(※7)と評されているようです。

なぜ、黒麹のほうが濃醇な味わいになるのでしょうか?

その理由として、以下のような記述に出会いました。
 麹菌は澱粉や蛋白質、脂質などを分解する酵素の他に、芋焼酎の風味形成に不可欠なβ-グルコシダーゼを生産する。この酵素は、サツマイモに含まれるモノテルペン配糖体を発酵中に加水分解し、柑橘の香り成分であるゲラニオール、ネロール、リナロール、α-テルピネオール、シトロネロールなどのモノテルペンアルコール(MTA)の生成に寄与している。MTAは芋焼酎特有の成分で“癒し”効果のある香りといわれている。
(中略)
また、黒麹菌のβ-グルコシダーゼ活性は白麹菌の約3倍高い。黒麹製の芋焼酎はMTAの濃度が白麹製と比べて1.5倍高いため、黒麹製の焼酎がより個性的であるといわれる要因といわれている。」(※8)

 種類の異なる麴について、β-グルコシダーゼ活性を測定したところ、甘藷焼酎の製造に一般的に使用されている河内菌の白麴に比較的強い活性があり、クエン酸を生産させるために通常行われている後半の温度を低くする(35℃)経過で活性が強いこと、製麴の終盤に急激に活性が強くなることが明らかになった。また、沖縄の泡盛の製造に用いられる黒麴は白麴より活性が強く、清酒の製造に用いられる黄麴は白麴より活性が弱かった。品質の多様化をねらって、黒麴を用いると香味の強いものが、黄麴を用いると香味の穏やかなものができる傾向があるが、これらの現象と麴中のβ-グルコシダーゼ活性の強さはよく符合する。」(※9)

最近では黒麹を使用する蔵元さんが増えているみたいですが、これは上記(※9)に「品質の多様化をねらって」とあるとおり、黒麹仕込の濃醇な味わい・強い香味を求めてのことなのでしょうね。

また、これはわたしの予想ですが、近年ではかつてよりも麹の管理が徹底していて、飛散防止のための対策が採られていることから、麹菌の飛散による影響を考慮する必要がないのかもしれませんね。
あるいは、黒麹菌自体の品種が改良されて、飛散しにくい黒麹菌が作り出されているのでしょうか?
すみません、これらについては調べが及びませんでした。

【2017/10/21追記】 その後、明治後期に導入された黒麹菌と現代のそれとは、同じ黒麹菌でも別物であるということを紹介している文献の記述に出会いました。
 今、また黒麴が注目されている。しかし、この黒麴は昔の黒麴菌の復活ではなく、種麴も違う新しいタイプなのだそうだ。
 「昔の黒麴は野生味があって辛口なんですよ。それで嫌われた。しかし、人間は贅沢ですから、今このように白麴一色になってしまうとなにか変化がほしいと言い出す。創造性に富む醸造場ならそう考えるのは当然です。それならと、うちでテスト中の菌があるから使ってみますかと言ったのが、黒麴ということになって広まったんです。ですから今の黒麴菌は、わたしの造った新しいタイプで、復活ではありません。」」(※10)

【2017/11/04追記】
さらにその後、この新しいタイプの黒麹菌は“黒麹菌NK(ニュークロ)”という名称であることがわかりました。
このことについて、文献では以下のように紹介されておりました。
黒麹は野性味があって、麹が造りやすい。しかし焼酎が辛くなるのです。だから昔の黒麹はすたれてしまったのです。甘味があって辛味の出ない黒麹を造ろうと、そして菌種を分離・選択して完成したのが、黒麹菌NKです。ニュークロといいます」」(※11)
この黒麹菌NKを使って造られたのが、霧島酒造が1998年に発売した「黒霧島」であった。」(※12)


とまあ、以上が文献調査でわかった内容でした。
では実際に黒麹菌を用いて造られた芋焼酎をいただいて、その味わいを確認してみることにいたしますよ。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




まずは、生(き)、すなわちストレートで。
5560.JPG

白霧島とおなじく、臭みはまったくありませんね。

やはり香りがはっきりしていますが、こちはら香ばしい香りですね。
この香ばしさは、香りのみならずうまみにもなっていますね。
それに、酸味と甘味とを少し感じます。
アルコール香はあるものの、白霧島ほど気にはなりません。
でも、こちらはちょいピリでした。




次に、お湯割り(焼酎:お湯=6:4)にしてみましたよ。
5561.JPG

口をつける前から、香ばしい香りがフワッと漂ってまいりました。

香りもうまみも香ばしさがよりいっそうはっきりしてきて、味わいに厚みが出てきましたね。
酸味と甘みとは引っ込んだようです。
また、軽い苦味がちょっとだけ出てきたようでした。




最後は、残ったものをロックで。
5562.JPG

トロッとした口当たりに変わりましたよ。
それに、香ばしさと軽い苦味とが前に出てきて、これが一番香ばしいかもしれません。
特に、焼酎を喉に流したあとで、舌の付け根あたりに香ばしさが残ります。
酸味は残るものの、甘味はお湯割りと同様にひっこんで、かなりキリッとしてきましたよ。



香ばしくておいしい焼酎でした。
白霧島のような華やかな香りはありませんでした。
ですが、こっちのほうが香ばしさがあって、味わいに厚みを感じました。
中でも私としては、味わいの厚みを最も感じることができたお湯割りが好みでした。

白霧島は雑味がなくてきれいですっきりしていて、香り高い芋焼酎でした。
一方、黒霧島は香ばしさが豊かで厚みのある味わいでした。
私としては、軽い苦味が少しあるものの、黒霧島のどっしりした風味のほうが好みですわ。



(※1)髙峯和則『焼酎と微生物』p.293-294(モダンメディア 61巻10号 p.290-297 栄研化学 2015)
(※2)鹿児島県本格焼酎技術研究会『かごしま文庫(62) 鹿児島の本格焼酎』p.33(2000.6 春苑堂出版)
(※3)鮫島吉廣『本格焼酎製造方法の成立過程に関する考察(その2)』p.829(日本醸造協会誌 84巻12号 1989.12)
(※4)白川湧『本格焼酎をまるごと楽しむ』p.61(2007.6 新風舎)
(※5)山内賢明『壱岐焼酎 蔵元が語る麦焼酎文化私論』p.99(2007.11 長崎新聞新書)
(※6)金羊社発行『焼酎楽園 Vol.4』p.39〔鮫島吉廣『焼酎を科学する4 黄麹菌から黒麹菌へ、そして白麹菌』( p.38-39)内〕(2000年12月 星雲社)
(※7)髙峯和則『芋焼酎の香りの正体を求めて』p.23(New Food Industry 55巻12号 p.22-30 食品資材研究会 2013.12)
(※8)(※1)p.294
(※9)太田剛雄・下條寛和・橋本憲治・近藤洋大・佐無田隆・大場俊輝『白麴のβ-グルコシダーゼ活性と甘藷焼酎香気への寄与』p.538(日本醸造協会誌 86巻7号 p.536-539 1991)
(※10)大本幸子『いも焼酎の人びと』p.73-74(山元正明氏(㈱河内源一郎商店代表取締役)インタビュー記事より 2001.10 世界文化社)
(※11)立山雅夫『やっぱり芋焼酎』p.99(山元正明氏インタビュー記事より)(2005.2 同友館)
(※12)(※11)p.100
nice!(37)  コメント(0) 

《焼酎》5.白霧島 200ml [9945.宮崎県の焼酎]

5549.JPG5550.JPG
霧島酒造株式会社
宮崎県都城市下川東四丁目28番1号

原材料/さつまいも、米こうじ(国産米)、芋こうじ
アルコール分/25%
内容量/200ml
南九州産さつまいも100%使用
(以上、ラベルより転記)




先日いただいた“いいちこ”に引きつづき、今日も焼酎のうち“世間で広く飲まれている銘柄”を選んで飲んでみることにいたします。

今日選んだこの焼酎は、芋焼酎です。
5551.JPG
広く飲まれている芋焼酎ということで、当初は鹿児島の“さつま白波”をいただこうかと思っておりました。
しかし、昨今では宮崎県都城市に蔵を置く霧島酒造さんのこの霧島シリーズが広く普及しつつあるとのことで、こちらを選らんでみましたよ。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

ところで、かつての芋焼酎には、ニオイが強いものがありましたね。
私が子どもの頃に父親が飲んでいた芋焼酎のお湯割りのニオイは、それはとても強烈でしたよ。
「こんなクサイものを飲む奴の気が知れない」と、子ども心に思ったくらいでした。

ですが、昨今の芋焼酎には臭みがなくてマイルドなものがけっして少なくないのだとか。


なぜ、風味がこうも変わったのでしょうか?
理由はいくつか想定し得ると思いますが(醸造技術全体の改良や、ろ過による原因物質除去の精度向上など)、特に注目に値すると思われる記述を、とある文献中に見つけました。

 焼酎の酒質に大きな変化が起きるのは昭和50年代に入ってからのことである。南九州の焼酎が北上するにつれ、品質の向上と酒質の保全への取り組みが始まった。芋焼酎では原料のサツマイモを一個一個手にとって傷のある部分を丹念に切り落とすようになり、芋傷み臭と呼ばれる欠点臭の発生を抑えるようになった。その後、育苗や栽培方法の改良、品種の選抜が行われるよになり、コガネセンガンに代表される優良品種が選定されるようになった。現在ではサツマイモ品種の焼酎の香味に与える影響が明らかになりつつあり、特徴的な香味を持つ芋焼酎の開発につながっている。」(※1)

上記の記述には“芋傷み臭”という言葉が出てきましたが、どうやらこれが芋焼酎のニオイの正体なのだそうです。
この芋痛み臭については、別の文献に以下のような記述がありました。

 このサツマイモで造った焼酎は柔らかな風味と甘味が特徴といえる。しかし病害虫に弱く、貯蔵性が悪いため、畑から掘り出した後一両日中に仕込まなければならない。傷んだ部分は削り取るが、少しでも残ると「芋イタミ臭」といわれる一種独特の臭いが焼酎に付いてしまう。」(※2)

 近年の大きな流れとして焼酎製造を技術的にみるとメーカーは消費者志向に対応してソフトで華やかな香りをもつ製品の開発を進めてきた。先行したのは芋焼酎であったがその後、麦焼酎、そば焼酎、米焼酎が芋焼酎の守ってきた製法を進めて九州外のニーズに答えていった。結果として癖のないソフトで華やかな香りをもつ製品が多くを占めることになる。これは南九州以外の土地での売れ行きの向上という大きな面もあったが、酒質の均一化という現象も生み出した。総じて、それぞれの原料の特徴を残しながら、芋焼酎では原料芋の選別、米焼酎では減圧蒸留の採用、麦焼酎では精製処理をすることで、製品の芋痛み臭の減少、油臭の除去、末ダレ臭の減少により臭いが減少したと考えられる。」(※3)

 本格焼酎の香味の特徴はまず不均一性にあると言える。まず原料がそれぞれ異なると香味が違うのは当然であるが、各原料も実際は均一に見えて実はそうではない。穀類は総じて均一だが、サツマイモは品種間で大きく異なり、また、同品種でも天候、気温、植え付けした畑の土壌、同じ固体でも表面と内部でもそれぞれ微妙に違っている。原料の良し悪しが最終製品の香味、特に香りに影響する。単なる擦り傷、低温傷害でも苦味物質や芋イタミ臭が発生するなど原料の厳選や処理には十分な注意が必要である。」(※4)

きれいに洗浄したサツマイモを、人の手で一個一個丁寧にヤニが多く含まれている両端を切り、また傷んだ箇所があれば、そこを取り除く。特に黒斑病、線虫等の病気や害虫に侵されているサツマイモは、いも焼酎の酒質に影響を及ぼすので、完全に除去しておく必要がある。この工程は機械化できず、人手に頼っている。」(※5)

これらの記述からわかることは、芋痛み臭のない芋焼酎を造るためには、さつまいもの鮮度のみならず、たとえ新鮮なさつまいもでも傷や低温傷害あるいは虫食いで痛んだ部分を人の手で丹念に取り除く必要があるということですね。
逆に言えば、近年になってから、芋傷み臭の発生を防ぐためには原料芋の選別・管理が必要であることがわかり、それを徹底するようになったことから、かつてのようなニオイの強い芋焼酎は姿を消しつつあるのでしょう。

さらに、「芋焼酎では減圧蒸留法はほとんど導入されていない。その理由として、酒質が常圧蒸留した焼酎と全く異なることと、もろみ粘度が麦焼酎と比べて30倍以上高いため熱伝導性が悪くもろみが焦げ付く可能性が高いためである。(中略)もろみのアルコール濃度が低下すると蒸留機の形状などにもよるが、一般的に蒸留歩合や原酒アルコール濃度は低下する。(中略)もろみに水を加えることで粘性は低下し減圧蒸留が可能となるが、上述の問題が生じることとなる。」(※6)という記述にあるとおり、芋焼酎では減圧蒸留によって香味成分の生成を防止することが難しいそうですから、(ろ過による香味物質の除去はともかく)原料芋の選別と管理とは穀類を原料とする場合よりもよりいっそう重要視されるのでしょうね。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



では、いただいてみたいと思います。




まずは、生(き)、すなわちストレートで。
5557.JPG

上記で紹介した文献にあったとおり、全然臭くないですね!

口当たりはかなり淡いですね。
うまみをほとんど感じないくらいです。

でも、香りが豊かで、しかも華やかな香りがフワッとしますね。
といっても、お酒(いわゆる日本酒)の吟醸香とはちがって、クドさがなくて落ち着いた香りです。

苦味や雑味はまったくなく、ピリピリ感もありません。
それに、甘味も感じませんね。
ただ、25度だけあってスーッとしたアルコールの香りが少し目立ちます。




ここで、お湯割りにしてみましたよ。
5558.JPG

アルコールのスーッとした感じは少し残るものの、それでも和らいでまろやかになりました。
香りは華やかさが最初に来て、芋っぽさのような香ばしさが下の付け根から鼻腔の入口辺りにかけて残り香のようにごくかすかに残るようです。
また、軽い苦味がちょっとだけ出てきたみたいです。




最後は、残ったものをロックで。
5559.JPG

生(き)と同様に、香りはやはり華やかです。
一方で、軽い苦味がお湯割りよりもちょっとはっきりしてきたようです。
ですが、甘みはこのロックが一番はっきりしているようです。



香りが豊かでおいしい焼酎でした。
清酒(いわゆる日本酒)みたいな舌の上に乗っかるようなうまみはありません。
でもね、芋焼酎には華やかではあるもののクドさのないよい香りがありましたよ。
また、これまでにいただいた米焼酎や麦焼酎では(程度の差こそあれ)香ばしさを感じることができましたが、この芋焼酎にはそれがありませんでした。

芋焼酎、はじめていただきましたが、なかなかいけるじゃありませんか!
中でも私としては、口当りがまろやかで、かつ香りに華やかさとともに芋っぽさを感じたお湯割りが好みでした。
淡いけれど香り高い、そんな焼酎でしたよ。

こりゃぜひともね、いつか宮崎や鹿児島へ行って地の焼酎を集めてみたくなってきましたよ。



(※1)鮫島吉廣『本格焼酎の世界 その歴史、技術、文化』p.1-2(Foods & Food Ingredients Journal of Japan 214巻1号 p.1-3 2009 FFIジャーナル編集委員会)
(※2)髙峯和則・鮫島吉廣『芋焼酎の風味に寄与する因子について』p.602(日本醸造協会誌 103巻8号 p.601-606 2008.8)
(※3)米元俊一『本格焼酎の香味成分と美味しさ』p.100(日本醸造協会誌 112巻2号 p.96-107 2017.2)
(※4)(※3)p.101
(※5)鹿児島県本格焼酎技術研究会『かごしま文庫(62) 鹿児島の本格焼酎』p.96(2000.6 春苑堂出版)
(※6)髙峯和則『本格焼酎製造技術』p.10(Foods & food ingredients journal of Japan 214巻1号 p.4-13〔『特集:本格焼酎 その歴史、技術、文化』(p.1-27)内〕2009 FFIジャーナル編集委員会)
nice!(30)  コメント(4) 
9945.宮崎県の焼酎 ブログトップ