So-net無料ブログ作成
29.奈良県の酒 ブログトップ
前の10件 | -

【お酒】1280.談山(たんざん)300ml [29.奈良県の酒]

5587.JPG5588.JPG
西内酒造 西内康雄
奈良県桜井市下三番地

アルコール分 15度
米(国産)・米麹(国産米)、醸造アルコール
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




奈良県桜井市多武峰(とうのみね)。
そこには藤原鎌足祭神とし、かつてこの地で大化の改新のための談合がなされたという談山神社があります。

その談山神社の参道に蔵を構えて御神酒を造っているのが、西内酒造さんです。
bon035.JPG
bon036.JPG

蔵の近くには、談山神社の一の鳥居があります。
しかし神社は、ここから数キロはなれたところにあるのです。
bon033.JPG
bon034.JPG


その西内酒造さんが造ったお酒の味わいについて、手元の文献には以下のような記述がありました。
 蔵元を訪ねた折、挨拶もそこそこに談山正宗の大吟醸と純米酒を一口試飲させて頂いた。不思議と、最初にこれは「御神酒」の味だなと思った。実際に談山神社の御神酒を醸造しておられるという事実を知ったのは後のことである。ところが、実のところ私は過去に神社で御神酒を飲んだことなど記憶にない。では何故すぐさま御神酒の味だと直感したのだろうか。それは、作り手が「神に奉げる酒」ということを強く意識しているからではないかと私は想像する。あらゆる自然に感謝して、ストイックにまた直向に酒を醸すことこそが酒造りの基本であり、その精神こそが今忘れ去られようとしているものではないかとさえ感じた。」(※1)


私が今日いただくこのお酒は普通酒ですが、果たして御神酒の味だと直感することはできるのでしょうか?
5589.JPG

普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほとんどわからない程度でした。
御神酒をこんな柄の徳利でいただいていいのかよ!
5590.JPG


おおっ!
こりゃすっぱいな!!

最初に酸味を感じました。
すっぱさが強めで鋭いですね。
でも、酸味自体に深みを感じます。
それに、けっこうピリッときますね。

うまみは濃くはないですが、しっかりしています。
酒臭さ(←ほめ言葉です)とともに、米のうまみを少し感じます。
苦味や雑味はないみたいです。
キレもよく、スッと引きます。

甘みはややひかえめです。
かなりさらっとした甘味をちょっとだけ感じます。


すっぱさがはっきりしていてピリッとくるものの、味わいに深みを感じる、ピリすっぱやや辛口のお酒でした。
味わいに深みがあって、それでいてすっぱくてピリッときます。
でも、苦味や雑味、それにクドさがなく、しかもキレがよいので、後味はすっきりしています。

神に奉げるお酒は決して飲みやすくはないものの、しっかりしているのにきれいなお酒でした。
まるで神様から、「オマエ、口当たりのいい酒ばっかり飲んでバカみたいに酔っぱらってんじゃねぇぞ!」って怒られているかのようでした。


(※1)山田二良『奈良の銘酒』p.53-54(2011.2 京阪奈情報教育出版)
nice!(30)  コメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

【お酒】1267.本醸造 出世男 300ml [29.奈良県の酒]

5490.JPG5491.JPG
河合酒造株式会社
奈良県橿原市今井町1-7-8

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分 18度
容量 300mL
(以上、ラベルより転記)




古い街並みが保存されている奈良県橿原市の今井町
その今井町に蔵を構える河合酒造さんのお酒は、かつて純米吟醸 大和百景 180mlをいただいております。
今日いただくこのお酒は本醸造です。

ですかこのお酒、品質表示を見ると、アルコール度数が18度と高めであることがわかります。
これはもしかしたら原酒でしょうか?
5492.JPG

もし原酒ですと、燗にすることで角が立ってしまうおそれがありますので、まずは冷や(常温)でいただきます。

お酒の色は、ごくかすかに着いていることがわかる程度でした。
5493.JPG


うまみは濃いめです。
濃くてしかも、とろっとした口当たりを感じます。
米のうまみとともに、醸し出された酒臭い(←ほめ言葉)とが広がります。
軽い渋みをほんのかすかに感じます。
それでいてキレはよく、スッと引きます。

酸味ははっきりしています。
すっぱさがやや強めで、鋭さも少し感じます。
でも、酸味自体に深みも感じます。
それにちょっとピリッと来るようです。

甘みはややはっきりしています。
さらっとした甘みが穏やかに効いています。


うまみがしっかりで酸味の深さを感じる、濃醇ちょいピリ旨やや甘口のおいしいお酒でした。
たしかに原酒らしい重さを感じるものの、クセがなくてキレがよいことから、飲みにくさはないと思います。
ただ、酸味の鋭さとちょいピリとがちょっと気になるかもしれません。
でもそれらも、合わせる食べ物次第ではうまく働くことでしょう。



18度ですからね、ここでロックにしてみましたよ。
5494.JPG

ロックにすると、ちょいピリと軽い渋みとが引きましたよ。
酸味の鋭さは残るものの、それがうまみの濃さや酸味の深みをうまくまとめてくれているみたいでした。
これはロックのほうがおいしいですぞ!
しっかりしていて酒臭い(←あくまでもほめ言葉です)のに、飲みやすく感じました。


ただね、そこはやはり18度の原酒(?)です。
飲み終わって立ち上がろうとしたところ、ちょっとフラついてしまいましたよ。
nice!(49)  コメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

【お酒】1256.阿騎野宿(あきののやど) カップ [29.奈良県の酒]

5430.JPG
稲戸屋 芳村酒造株式会社
奈良県宇陀市大宇陀万六1797

原材料 米(国産)・米麹(国産米)醸造アルコール
アルコール分 15%
内容量 180ml
(以上、ラベルより転記)




道の駅宇陀路大宇陀で見つけた、奈良県宇陀市の大宇陀に蔵を置く蔵元さんのお酒です。
5431.JPG

10日ほど前に大宇陀を訪れました。
その際、まことに以って情けないことではございますが、あたしゃ久保本家酒造さんのことばかり頭にあって、この蔵元さんのことを完全に見落としておりましたよ。
ですが、はからずも道の駅でこのお酒に出会うことができて、なんとか救われたような気がいたします。


酒銘に用いられている“阿騎野(あきの)”ってのは、どうやら大宇陀の古称のようですね。
手元の文献には、以下のような記述がありました。
 万葉集に「東(ひむがし)の野に、かぎろひの立つ見えて かえり見すれば 月傾(かたぶ)きぬ」という柿本人麻呂の歌がある。この「かぎろひ」というのは、原文では「炎」の一文字であり、具体的にどういった自然現象を表わしているのかはよくわからず、今日まで諸説があるようだ。しかし、これを日の出前の曙光ではないかと解釈して、大宇陀では毎年かぎろひを観る会が催されている。なぜ大宇陀かというと、「東(ひむがし)の町」というのは、かつて朝廷直轄の狩場があった阿騎野(あきの)(もしくは安騎野)という場所を指し、そこが現在の大宇陀辺りだとされているからだ。」(※1)


今日は、そんな由緒ある大宇陀の古称をその名にいただくこのお酒をいただきます。
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、きれいな金色をしておりました。
5432.JPG


うまみは濃いめですよ!
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみが豊かです。
それに苦みに重みがあるものの、強くはないみたいです。
キレはとてもよく、スッと引いていきます。

酸味はややはっきりしています。
すっぱがさが少しあって、深みを感じます。
また、アルコール由来と思われるさわやかさも感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややひかえめです。
かなりさらっとした甘みをほんの少し感じる程度です。


重みのある苦みと深みのある酸味とが効いているもののキレのよい、濃醇苦旨やや辛口のおいしいお酒でした。
酸味の深みはもちろんのこと、苦みがとてもうまく効いていると思います。
おそらくこれは、アル添によって生じたキレのよさが、苦みの嫌味をなくして整えてくれているのではないでしょうか。
決して飲みやすくはないものの、あたしゃこういうズシリと来てスッと引くお酒、好きですわ。

必ずや再び大宇陀へと出かけて、芳村酒造さんを訪問しようと固く心に決めましたよ。
桜井の西内酒造さんでカップ酒を入手することも課題として残してあることですしね。

(※1)山田二良『奈良の銘酒』p.60(2011.2 京阪奈情報教育出版)
nice!(35)  コメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

【お酒】1141.三諸杉(みむろすぎ) 180ml [29.奈良県の酒]

4847.JPG4848.JPG
今西酒造株式会社
奈良県桜井市三輪510

原材料名 米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
アルコール分15度
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




大神神社のお膝元でお酒を造っていらっしゃる今西酒造さんのお酒は、かつて三諸杉のカップ酒(普通酒)と、三諸杉の菩提酛純米酒300mlとをいただいております。
今日いただくこのお酒は大神神社へのお供え物として卵とセットで販売されていたものですが(私は自分でいただくために購入したことから、卵は敬遠させていただきました)、普通酒ですから、中身はカップ酒と同じお酒でしょう。
4849.JPG


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほとんど目立たない程度でした。
4850.JPG


うまみは濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみと共に、ウィスキーのような香ばしさをちょっと感じます。
それに、軽い苦みもほんの少しあるみたいです。
それでいてキレはよいみたいです。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさが少しあって、酸味自体に深みを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややひかえめです。
強くはないですが、存在ははっきりしています。


しっかりしたうまみと深みのある酸味との、濃醇旨口のおいしいお酒でした。
うまみと酸味とが、深い味わいを作り出していると感じました。
ちょっとクセのある味かもしれませんが、それでいてキレがよいので、クドさがありません。
信貴MYCUP(中身は升平か?)もそうでしたが、けっして飲みやすくはないものの、私としてはこういうしっかりした味わいこそが奈良の普通酒らしい味だと勝手に思っております。

【お酒】1137.黒松稲天 本醸造 カップ [29.奈良県の酒]

4831.JPG
稲田酒造合名会社
奈良県天理市三島町379

アルコール分 15度以上16度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
精米歩合70%
容量180ml詰
(以上、ラベルより転記)




奈良県天理市、言わずと知れた天理教のお膝元。
今日いただくこのお酒は、その天理の街の中心地にある商店街沿いに蔵を構える蔵元さんのお酒です。
2016201733.JPG


稲田酒造さんのお酒について、文献には以下のような記述がありました。

確かに稲田酒造のお酒は、天理教の御神酒として深く天理と関わっており、信者さんの厚い信頼を得て日本全国への発送はもとより、今では遠く韓国や台湾でも引き合いがあるという。しかし、あくまでもそれは結果である。品質が伴わなければ、単に地元の酒というだけで、広く長く人に求め続けられることはない。また、徒に醸造所拡張して生産量を増やしたりせず、年間二百石という十分に目の届く範囲の石数で品質を守っているのも支持される理由だろう。つまり天理教関連の需要は、この蔵元が古くから天理の地の利を生かした誠実な酒造りをしてきたことのひとつの結果であり、純粋に優れた奈良の地酒の一つとして見ることも大事だろう。なによりもそれはひと度味わえばすぐに判ることでもある。」(※1)

今日いただくこのお酒は本醸造のカップ酒ですが、果たしてこのお酒にも蔵元さんが誠実な酒造りをしてきた結果が表現されているのでしょうか。
それを確かめるべく、そろそろいただいてみたいと思います。
本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。
4832.JPG


お酒の色は、ほとんどわからない程度でした。
4833.JPG


うまみはやや淡めです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)をかすかに感じる程度です。
香ばしさもちょっとだけあるみたいです。
それよりも、軽い苦みが少しはっきりしているようです。
キレはよく、透明感がありますね。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさが強くはないものの、ちょっとだけ鋭さを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
でも、けっしてべとつかない、さらっとした甘みです。


やや淡麗でちょい苦やや甘口のお酒でした。
淡めであるためか、軽い苦みや酸味が少しはっきりしていました。
でも、飲みにくさはなく、むしろそれらが料理の魚臭さや脂っぽさを流してくれそうでした。
本醸造の特定名称が付されておりますが、この透明感から推察するに、醸造アルコールの添加量が多めなのではないかと私は感じました。
もしかしたら、それも品質を守るための一手法なのでしょうか?

(※1)山田二良『奈良の銘酒』p.46(2011.2 京阪奈情報教育出版)

【お酒】1136.山桂(やまかつら) 清酒カップ [29.奈良県の酒]

4829.JPG
株式会社岡本本家
奈良県吉野郡大淀町下淵230

原材料名 米(国産)、米麹(国産米)、醸造アルコール
アルコール分15度以上16度未満
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




ある筋の情報によれば、岡本本家さんは、最近になって奈良県の酒造組合を退会なさったのだとか。
↑どんな筋だよ!
もしかしたら、お酒造りの規模を縮小するおつもりなのでしょうか?


ネタがないことをごまかしたところで、いただいてみたいと思います
普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほとんど目立たない程度でした。
4830.JPG


うまみは淡めというか、むしろ薄めです。
ほとんど感じないくらいです。
香ばしさと苦みとをかすかに感じる程度です。

酸味はややひかえめです。
すっぱさを少しだけ感じます。
また、冷めるにつれてピリピリ感が出てくるようです。

甘みはひかえめです。
ほとんど感じないくらいです。


薄くてピリ辛口のお酒でした。
これほどうまみが少ないお酒はめずらしいのではないでしょうか?
苦みや酸味はありますが、薄いので気にはなりませんでした。
これは完全に私の予想ですが、醸造アルコールを多めに添加して度数を高めに上げたのちに、多めの加水量でそれを15-16度に下げているのではないでしょうか?

【お酒】1114.信貴 MY CUP [29.奈良県の酒]

4728.JPG
八木酒造株式会社
奈良市高畑町915

原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
アルコール分 15度
容量180ml詰
(以上、ラベルより転記)




 八木酒造は、中世から十三代に渡って中清水町で酒造を営んできた横田屋という屋号の蔵元を、明治十年に大阪堂島の米商であった八木千之助が継承したものだ。その折の横田屋本家や酒蔵二棟は、今もほぼそのままの形で残されており、現役で使用されている。」(※1)という由緒正しき蔵元さんである八木酒造さんのお酒は、かつて糖添三増酒のやまとの華カップをいただいております。
今日いただくこのお酒も普通酒ですが、こちらには糖類(や酸味料)は添加されていないみたいです。
4729.JPG


八木酒造さんは奈良市の中心市街地に蔵を置く蔵元さんですが、このお酒には“信貴MYCUP”と、奈良市から少し離れた場所に位置する信貴山(しぎさん)を思わせる銘が付けられておりました。
4730.JPG


もしかして、信貴山を訪れた観光客にみやげ物として買ってもらうことを目的として企画された商品なのでしょうか?


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、それほど目立たない程度でした。
4731.JPG


うまみは、どちらかというとやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)とともに、香ばしさが少しあります。
この香ばしさには枯れたような風味や角はなく、深みだけを感じます。
軽い苦みも少しだけあるみたいです。
それでいてキレがよく、スッと引いていきます。

酸味はややはっきりしています。
角のないすっぱさを少しj感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややひかえめです。
まったくべとつかない甘みを感じますが、香ばしさの裏に隠れているようです。


しっかりしているもののキレがよい、旨やや辛口のおいしいお酒でした。
やや濃いめではあるものの、キレがよいので、クドさがありません。
それでいて香ばしさに深みがあって、飲み応えを感じます。
また、甘みは少しあるものの、甘さが香ばしさの陰に隠れて甘く感じず、コクだけがうまく働いているようでした。
もしかしてこのお酒は、今年の1月2日に奈良でいただいた升平の上撰と同じものではないでしょう?
香ばしさがクセのようにも感じるのでけっして飲みやすくはないとは思いますが、私はこういうしっかりした味、好きですわ。
ただね、みやげ物にするならば、もう少し飲みやすいお酒を詰めたほうがよいのではないかと思いました。

(※1)山田二良『奈良の銘酒』p.26(2011.2 京阪奈情報教育出版)

【お酒】1085.猩々 カップ [29.奈良県の酒]

4599.JPG4600.JPG
北村酒造株式会社
奈良県吉野郡吉野町大字上市172-1

アルコール分15度以上16度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール・糖類
180ml詰
(以上、ラベルより転記)




昨日の猩々(しょうじょう)の上撰カップに引きつづき、北村酒造さんのお酒をいただきます。
今日いただくこのお酒でしたが、残念ながら糖類添加の三増酒でした。
4601.JPG
また、小印が付けられていないということは、これは佳撰クラス(級別制度下における二級酒相当か?)のお酒なのでしょうか?


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、かすかに着いている程度でした。
4602.JPG


うまみはやっぱり濃くはないですね。
うまみよりも軽い苦みのほうがはっきりしておりますが、苦みは上撰ほど強くはないみたいです。
やはりこのお酒にも透明感があって、キレもよいみたいです。

酸味はややひかえめです。
すっぱさがちょっとだけあるみたいです。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みははっきりしています。
糖添三増酒にありがちな、とろみのような舌触りをちょっと感じます。


ちょい苦甘口のお酒でした。
苦みは上撰よりもちょっとだけひかえめです。
しかし、うまみがそれほどはっきりしておらず、しかも甘めでした。
これはあくまでも私の予想ですが、上撰と造りの基本は同じであるものの、糖類が添加されている分だけ上撰よりも米由来の成分が少ないことに起因するのではないでしょうか?

【お酒】1084.猩々(しょうじょう) 上撰 カップ [29.奈良県の酒]

4595.JPG4596.JPG
北村酒造株式会社
奈良県吉野郡吉野町大字上市172-1

原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール
アルコール分15度
180ml詰
(以上、フタに貼られたラベルより転記)




「猩々」とは、もともと中国の古い故事に出てくる想像上の生き物で、海中に棲み、人面だが猿に似た体の、無類の酒好きの妖精とされる。後に日本で能楽の演目となり、一般に浸透するようになった。」(※1)という猩々(しょうじょう)。
その酒好きの妖精をその名にいただくこのお酒をいただきます。
4597.JPG


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、かすかに茶色がかっておりましたが、透き通った感じがしました。
4598.JPG


ああ、やっぱり。

うまみというか、むしろ苦みが少しはっきりしています。
それでも透明感があって、キレもよいみたいです。

酸味はややひかえめです。
すっぱさがちょっと、さわやかさもちょっとといったところでしょう。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
ちょっとべとつくようです。


ちょい苦いやや甘口のお酒でした。
うまみがほとんどなく、苦みのほうがはっきりしていて、それでいて透明感すら感じるキレのよさでした。
あくまでもこれは私の予想ですが、こういう味わいのお酒って、雑味の出た醪を多めのアルコールでのばしているのではないでしょうか。
それ故に、色合いや味わいに薄さ、すなわち透明感が出るのではないでしょうか?
これまでにも月山(鳥取県のほう)静ごころなどが、これと似たような色合いや味わいでした。

それでも、このお酒には甘みがあることで、苦みが多少緩和されているように感じました。


(※1)山田二良『奈良の銘酒』p.100(2011.2 京阪奈情報教育出版)

【お酒】1082.三諸杉(みむろすぎ) 菩提酛 純米酒 300ml [29.奈良県の酒]

4585.JPG4586.JPG
今西酒造株式会社
奈良県桜井市大字三輪510

■原材料名/米(国産)・米こうじ(国産米)
■アルコール度/16度
精米歩合の表示なし
内容量 300ml
(以上、ラベルより転記)




大神神社のお膝元に蔵を置く今西酒造さんのお酒は、かつて三諸杉(みむろすぎ)のカップ酒(普通酒)をいただいております。
今日いただくこのお酒は、“菩提酛(ぼだいもと)”を使用して造られた純米酒なのだとか。
4587.JPG
精米歩合が表示されておりませんでした(蔵元さんのWebsiteでは70%と紹介されておりました)。
純米酒には精米歩合の制限はありませんが、それを表示する必要はありますので(※1)、これはルール違反でしょう。


細かいことを指摘するのはこのくらいにして、本題に入ります。

菩提酛とは、「室町時代中期に、奈良市の郊外にある菩提山正暦寺において創製された酒母で、現在普及している速醸酛や生酛系酒母の原型であると考えられている。」とのこと(※2)。
4588.JPG

“酒母(しゅぼ)”すなわち“酛(もと)”の意味についてはかつてこちらで触れておりますが、要するに、酵母の培養液のことです。
日本のお酒は、麹が出す糖化酵素が米のデンプンを糖に変え、その糖を酵母がアルコールに変えることで造られます。
この酒母(酛)と、麹、蒸米(掛米)、そして水をタンクの中へ仕込み、上記2つの変化を同時に進行させて(並行複発酵)お酒を造るのですが、その発酵を一気に進めるためにあらかじめ酵母を培養しておくのです。

そしてこの菩提酛こそが、今日において一般的に採用されている酒母の製造方法(速醸酛や生酛、山廃酛など)の原型と言えるのだそうです。


菩提酛には、「①清酒製造は通常冬場に行われているが、菩提酛は温暖な環境で製造される。」ことと共に、「②清酒の酒母の原料米はすべて蒸してから使用されているが、菩提酛では生米を使用し、そこに少量の飯米を加えて乳酸発酵を行う。この乳酸発酵酸性液を「そやし水」と呼び、この水を仕込み水として利用している。」(※2)という点に、今日における酒母製造過程とのちがいがあるそうです。

すなわち、菩提酛を製造する工程は、
Ⅰ:“そやし水”を作る工程、すなわち生米と蒸米とを水につけて乳酸菌を育て、乳酸発酵によって酸性になった水を作り出す工程と、
Ⅱ:そのそやし水を仕込水として用いて、酵母を培養する工程
との2工程に分かれているのです。 


これって要するに、現代において広く用いられている速醸酛と同じ原理ですね。

速醸酛は、乳酸発酵の過程を省略して酵母の育成に必要となる乳酸を添加し、酵母が育ちやすい環境を整えておく培養方法です。
明治四二年、江田鎌治郎氏は、生酛づくりの要諦はすっぱくなることであることを見いだし、仕込みのときに乳酸を加え、さらに酵母も同時に加えて、酒母の速成を考案した。これを速醸酛と称した。」(※3)という文献の記述にあるとおり、この速醸酛は江戸時代からずっと続いてきた乳酸発酵を伴う生酛の造りを簡略化した手法であるとあたしゃずっと思っておりました。
しかし、どうやら中世における酒造りでは、速醸酛と同じことをやっていたようですね。

ただし、「この酒母造りは乳酸発酵をさせるという点では生酛系酒母の原型ともいえるし、乳酸を含む水を仕込水として使う点では速醸酒母の原型ともいえよう。」(※4)という記述もあったことから、どうやらこの点が、菩提酛をもって速醸酛のみならず生酛系酒母の原型でもあると評する所以のようです。


その菩提酛ですが、「明治になって乳酸を使用する技術が考案され、酒母の製造操作が容易、且つ安全、しかも短期間に製造できる速醸酛が開発され、この酒母が全国に普及したことにより菩提酛は大正時代に姿を消したとされていた。」(※5)そうです。
乳酸発酵を酛造りの工程から切り離して、その代わりに工業的に作り出した乳酸を使用するようになったわけですね。

しかしその後、「 最近になって筆者らは、この幻の酒母が、奈良県内の或る酒造場で昭和の初期から連綿と、御神酒用濁酒(総米1トン)の製造に育成され利用され続けていることを知り実態調査を行った。」(※5)結果、この濁酒の醸造過程において「酒母育成に際しては、酒蔵に住み着いている野生化した酵母と乳酸菌を利用する古典的な手法が使われており、「御酒之日記」や「童蒙酒造記」に記載されている菩提酛製造法の原形をよく保っていることが確認された。」(※6)とのこと。

そして「 この幻となっていた菩提酛を用いた清酒(菩提酛清酒)を再現、復活させるため、1996年に奈良県内の酒造会社有志・正暦寺・奈良県工業技術センターをメンバーとして「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」が立ち上げられた。また、関係機関・関係者の協力を受けながら活動を続け、1998年に菩提酛清酒を再現、復活することができて、現在商品化している。」(※2)そうです。

この菩提酛を使用したお酒については、「まず菩提酛という酒母を正暦寺が生産し、それを参加酒造メーカーが買い取り、それぞれの米、水、麹を使ってそれぞれ独自の最終製品として仕上げてゆくというのが奈良菩提研が考えた全体的な生産システムである。」(※7)との記述が示すとおり、(各蔵元さんで独自に菩提酛を造るわけではなくて)正暦寺で造られた菩提酛を使って奈良県内にある複数の蔵元さんで醸造されたお酒が各種販売されているようです。


今回入手した文献には、菩提酛復元の理念やその苦労、それになぜ正暦寺が菩提酛を造って各蔵元へ頒布しているのかといったことが紹介されておりました。
しかし、これらをここで紹介するとものすごく冗長になってしまいそうですので、次回、他の蔵元さんが造った菩提酛使用酒を入手した際のネタとしてとっておくことにいたします。
どうせまとめるのがめんどくさくなったんだろ!


それでは、その菩提酛を使用して造られた今西酒造さんの純米酒をいただきます。

菩提酛を使用したお酒の味については、「乳酸菌が菩提酛の特徴をかもし出します。甘酸っぱい酸味が、最後まで酒の風味として残るのです。」(※8)と評する記述が文献にありました。
そこで、燗にすることで酸味が際立って飲みにくくなってしまうことを警戒し、まずは冷や(常温)でいただいてみたいと思います。

お酒の色は、黄色がけっこうはっきりしておりました。
4589.JPG


香りはとくに感じませんでした。

うまみはやや濃いめです。
醸し出された酒臭い(←ほめ言葉です)うまみが豊かです。
それに、香ばしさを少し感じます。
それでいて、苦みや雑味はありません。
しかもキレがよく、クドさはありません。

酸味はやっぱりはっきりしています。
すっぱさを感じるものの、鋭さはそれほどでもないですね。
むしろ酸味自体に深みを感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはややはっきりしています。
さらっとした甘みをやや強めに感じますが、酸味に隠れているみたいです。


深みのある酸味が豊かな、やや濃醇で旨やや甘口のおいしいお酒でした。
そやしの工程で造られた乳酸の影響ですっぱいのかと思ったのですが、むしろ深みのある酸味を感じました。
たくさんは飲めないかもしれませんが、味わい深くておいしいお酒でしたよ。
酒ってのは、ふつうはそんなにたくさん飲まないものなんだよ!




ここで、燗にしてみましたよ。
4590.JPG

燗にすると、お酒の甘い香りがフワッと漂ってまいりました。
また、酸味に鋭さが少し出て、うまみよりも目立ってきたようです。
そのせいか、口当たりが少しスッキリしたように感じました。
燗にすると雑味が出るのではないかと懸念しておりましたが、それは杞憂でした。

酸味をよりはっきりと味わいたいならば燗で、味のバランスを愉しみたければ冷や(常温)で、といったところでしょうか?


(※1)清酒の製法品質表示基準(平成元年国税庁告示第8号)3(1)
(※2)松澤一幸『菩提酛のメカニズムと微生物の遷移』p.473(生物工学会誌 89巻8号 p.473-477 2011 日本生物工学会)
(※3)秋山裕一『日本酒』p.68(1994.4 岩波新書)
(※4)『最新酒造講本』p.106(1996)((※7)p.6に掲載されていた引用を再引用)
(※5)松澤一幸・山中信介・坂井拓夫・寺下隆夫『菩提酛を用いた濁酒製造過程における成分の経時変化と微生物の消長』p.734-735(日本醸造協会誌 97巻10号 p.734-740 2002.10)
(※6)(※5)p.735-736
(※7)住原則也『清酒のルーツ、菩提酛(ぼだいもと)の復元-奈良の「産」「官」「宗」連携プロジェクトの記録-』p.22(アゴラ(天理大学地域文化研究センター紀要) 第4号 p.1-27 2006)
(※8)山田二良『奈良の銘酒』p.116(2011.2 京阪奈情報教育出版)
前の10件 | - 29.奈良県の酒 ブログトップ