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【お酒】1127.来福 純米吟醸 好適米愛山使用 300ml [08.茨城県の酒]

【2017/03/12追記】:種子親/花粉親について書いた部分を、文献の引用を追加して書き換えました。

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来福酒造株式会社
茨城県筑西市村田1626

アルコール分15度
原材料名 米・米こうじ
精米歩合 50%
原料米 兵庫県産愛山100%使用
300ml詰
(以上、ラベルより転記)




 江戸時代から連綿と続く伝統に甘えず、新たな酒造りに挑戦する―。来福酒造には、そんな若い情熱があふれている。ナデシコから採取した酵母を使った吟醸酒造り。新品種の酒造好適米による試験醸造など、いずれも本県初の取り組みに率先して名乗りを挙げた。」(※1)という来福酒造さんのお酒は、三日前に来福の純米酒純米カップをいただいております。
今日いただくこのお酒は、愛山(あいやま)という酒造好適米を使用した純米吟醸酒です。
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愛山は、愛船117と山雄67とを両親とし、「両親品酒銘から1字ずつを採り命名。」(※2)されたのだとか。
また山雄67の両親は山田錦と雄町とであることから、愛山は「山田錦と雄町とを祖父母と」(※2)する酒米なのだそうです。

その愛山について、文献では以下のように解説されておりました。

 「愛山」は育成野帳によると、1941年に酒造米試験地で「愛船117」を種子親に、「山雄67」を花粉親に用いて交配された。翌1942年にF1個体が養成された。その後の育成経過は野帳などの資料が残っていないため不明である。1949年~1951年の福田原種圃の生産力検定試験には「愛山11号」の系統名で試験に供試されている。収量性は高いが品質がやや悪いとの理由で、1951年で試験は終了した。」(※3)

 「愛山11号」の育成試験は1951年に打ち切られたが、酒米試験地の地元である加東郡社町では一部の農家や集落で栽培が続けられてきた。「愛山」の名称は、「愛山11号」の系統名が正式名であるが、現地で「愛山」として略して呼ばれていたことによると考えられる。その後、酒米試験地では1968年に品種保存栽培に供試するため、社町山国の農家から苗を譲り受け、場内栽培を行い特性調査をしている。そして、現地からの要望もあり純系淘汰を行い、1972年には種子を増殖して現地に提供し、現地では1973年からこの種子を用いての栽培が行われるようになった。その後も隔年で酒米試験地から現地に種子が供給された。さらに1985年からは酒米試験地で原々種栽培が行われ、3年毎にみのり農業協同組合に有償で提供され、表8に示すように、現在も加東郡社町で30ha以上の作付けが行われている。「愛山」は1980年に醸造用玄米の産地品種銘柄に指定されている。」(※3)

戦前から育成が開始されていて、その育成がいったん止められてしまったにも関わらず復活し、育成から40年後になってようやく酒造好適米として認められるようになったお米だったのですね。

ところで、上記の記述には「「愛船117」を種子親に、「山雄67」を花粉親に用いて交配された。」とありました。
酒米の由来を紹介する文章では、たとえば「「山田錦」に用いた育種法は、人工交配による系統育種法である。交配は大正12年(1923)に行い、母親は「山田穂」父親は「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」である。」(※4)というように、かけ合わせた品種の母と父とを区別して紹介している記述に出会うことが少なからずありますね。
この区別は、要するに“母親=種子親”“父親=花粉親”という意味なのでしょうね。

生物学、特に植物学に詳しい御仁であればおそらく至極当然のことなのでしょうが、純然たる文系人間である私としては、目からウロコが落ちるがごとくの発見でしたよ、


ひとつおりこうになったところで、そろそろいただいてみたいと思います。
純米吟醸酒ですので、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、かすかに茶色がかっておりました。
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吟醸香ありますね。
けっこうはっきりしていますが、キツさはないみたいです。
花っぽいかおりですが、もしかしたらこのお酒にも花酵母が使われているのでしょうか?

うまみはやや淡めです。
お米のうまみを穏やかに感じます。
山田錦ほどではないものの、少し広がりがあるみたいです。
苦みや雑味はまったくありませんが、キレはそれほどでもないみたいです。

酸味はややはっきりしています。
すっぱさは強くはないものの、鋭さを少し感じます。
刺激やピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
しかしゼロではなく、わずかに存在することがわかります。


吟香とお米のうまみとを酸味が引き締め、かすかな甘みがコクを添える、やや淡麗でやや辛口のおいしいお酒でした。
香りははっきりしているもののキツくはないことから、食事とも合わせやすいと思います。
それに吟醸酒だけあって苦みや雑味がまったくなく、上品な味わいに仕上がっておりましたが、きっとこの点が吟味して醸造された成果なのでしょう。
おいしいお酒ですが、私としては、純米酒の深みのある味わいのほうが好みでした。


(※1)『茨城の酒と蔵』p.136(2002.10 茨城新聞社)
(※2)副島顕子『酒米ハンドブック』p.6(2011.7 文一総合出版)
(※3)池上勝『酒米試験地の設立と初期品種系統「兵庫雄町」,「山雄67号」および「愛山」の育成経過』p.40(兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告〔農業編〕第54号 p.33-41 2006.3)
(※4)兵庫酒米研究グループ編著『山田錦物語 人と風土が育てた日本一の酒米』p.45(2010.4 神戸新聞総合出版センター)
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エクスプロイダー

愛山の酒は余り多くないですが。ましてや3デジ瓶だと尚更。愛山だと灘の剣菱ですね。
by エクスプロイダー (2017-03-11 21:42) 

skekhtehuacso

エクスプロイダーさん、剣菱と愛山との関係については上記の文献や何年か前のdancyuでも紹介されておりましたよ。
いつかその愛山使用の剣菱をいただいた際には掘り下げる必要があると思っております。
by skekhtehuacso (2017-03-11 22:25) 

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